Episode 8 [英雄たちの戦い]
Episode 8
3階奥にある女子トイレの騒動の陰でタクヤはほくそ笑んでいた。
友人の谷口と放送室で昼食を取ることがあったので、校内アナウンスの仕方を覚える機会があり、それが役立つ日が来るとは夢にも思っていなかった。
(混乱を起こせば、3階に注意が行って職員室が手薄になるだろう。そう!そこを狙って俺のDVDを回収するッ!)
タクヤは急いで放送室から飛び出し、1階にある職員室へ急いだ。
(DVDを渡すとすれば、部活の顧問だろう…俺の記憶が正しければ顧問は現代文の五十嵐だったはずだ…奴が3階に行ってることを願うしかないッ!)
1階に着くと、放送部の部長と小日向が職員室横にある階段を部活顧問の教員と共に駆け上がるのを目撃した。
(神はやはり俺の味方だッ!)
タクヤは額に薄らと浮かんだ汗を手の甲で拭い、職員室の中へ入った。幸いなことに担任教員の姿もなく、特に怪しまれることもなかった。彼は暇そうに小テストの採点を行っていた中年の女性教員に近づいた。
「あのぉ~」
タクヤが声をかけると中年の女性教員が顔を上げた。
「五十嵐先生の机は何所ですか?」
「隣の列の右から3つ目よ。」
「ありがとうございます!」
想像を超えるほどスムーズに進んでいることにタクヤは喜び、それを顔に出さないよう歯を食いしばって真剣な表情を作り上げた。
(もう少しで、俺のユイに会える…)
目的の机に近づくと、書類の上に置かれたCDケースを見つけた。
(よし…)
タクヤは周囲を確認してからCDケースを取って、それを制服のポケットに滑り込ませた。
(あとは家に帰って、ユイとの時間を楽しむとしよう…)
職員室を後にしてタクヤは今日の出来事を思い起こしていた。
(色々あったな…このDVDは不思議な力を持っているに違いない。ある意味、ユイの力だろう。彼女のお陰で小日向さんを近くで見ることができた。そうだ。今度、話しかけてみよう。そうだ。そうしよう。)
帰宅しようと職員室横の階段前に差し掛かると、好意を寄せている小日向と遭遇した。彼女はタクヤを見ると目を見開き、タクヤはこの時、雑誌に書かれていた『女性は好きな人と会うと瞳孔が開く』現象に直面したと思った。
(話しかけるしかあるまいッ!)
「あ、あにょぉ~」緊張するタクヤは上手く話せなかった。
「ちょっとここで待っててッ!」
そう言い残して小日向は階段を駆け上がって行った。
(化粧を直しに行ったのかな?そんな必要なんてないのに…)
数分後、小日向が放送部の部活顧問と部長を連れて降りてきた。
(何で?何でそんなに沢山引き連れてるの?)
「君かい?不適切な物を放送室で見ていたのは?」額の広い男性教員がタクヤに尋ねた。教員の後ろで放送部の部長と小日向がタクヤを監視していた。
「何のことですか?」タクヤが尋ね返した。小日向の手前、彼は白を切り通す気であった。
「君じゃないのか?」
「言ってる意味が分かりません。」
「それじゃ、これはどうかな?」
部活顧問が右手を上げ、一枚のディスクをタクヤに見せた。そのディスクの表面には『ユイとの思い出』と書かれていた。
3階奥にある女子トイレの騒動の陰でタクヤはほくそ笑んでいた。
友人の谷口と放送室で昼食を取ることがあったので、校内アナウンスの仕方を覚える機会があり、それが役立つ日が来るとは夢にも思っていなかった。
(混乱を起こせば、3階に注意が行って職員室が手薄になるだろう。そう!そこを狙って俺のDVDを回収するッ!)
タクヤは急いで放送室から飛び出し、1階にある職員室へ急いだ。
(DVDを渡すとすれば、部活の顧問だろう…俺の記憶が正しければ顧問は現代文の五十嵐だったはずだ…奴が3階に行ってることを願うしかないッ!)
1階に着くと、放送部の部長と小日向が職員室横にある階段を部活顧問の教員と共に駆け上がるのを目撃した。
(神はやはり俺の味方だッ!)
タクヤは額に薄らと浮かんだ汗を手の甲で拭い、職員室の中へ入った。幸いなことに担任教員の姿もなく、特に怪しまれることもなかった。彼は暇そうに小テストの採点を行っていた中年の女性教員に近づいた。
「あのぉ~」
タクヤが声をかけると中年の女性教員が顔を上げた。
「五十嵐先生の机は何所ですか?」
「隣の列の右から3つ目よ。」
「ありがとうございます!」
想像を超えるほどスムーズに進んでいることにタクヤは喜び、それを顔に出さないよう歯を食いしばって真剣な表情を作り上げた。
(もう少しで、俺のユイに会える…)
目的の机に近づくと、書類の上に置かれたCDケースを見つけた。
(よし…)
タクヤは周囲を確認してからCDケースを取って、それを制服のポケットに滑り込ませた。
(あとは家に帰って、ユイとの時間を楽しむとしよう…)
職員室を後にしてタクヤは今日の出来事を思い起こしていた。
(色々あったな…このDVDは不思議な力を持っているに違いない。ある意味、ユイの力だろう。彼女のお陰で小日向さんを近くで見ることができた。そうだ。今度、話しかけてみよう。そうだ。そうしよう。)
帰宅しようと職員室横の階段前に差し掛かると、好意を寄せている小日向と遭遇した。彼女はタクヤを見ると目を見開き、タクヤはこの時、雑誌に書かれていた『女性は好きな人と会うと瞳孔が開く』現象に直面したと思った。
(話しかけるしかあるまいッ!)
「あ、あにょぉ~」緊張するタクヤは上手く話せなかった。
「ちょっとここで待っててッ!」
そう言い残して小日向は階段を駆け上がって行った。
(化粧を直しに行ったのかな?そんな必要なんてないのに…)
数分後、小日向が放送部の部活顧問と部長を連れて降りてきた。
(何で?何でそんなに沢山引き連れてるの?)
「君かい?不適切な物を放送室で見ていたのは?」額の広い男性教員がタクヤに尋ねた。教員の後ろで放送部の部長と小日向がタクヤを監視していた。
「何のことですか?」タクヤが尋ね返した。小日向の手前、彼は白を切り通す気であった。
「君じゃないのか?」
「言ってる意味が分かりません。」
「それじゃ、これはどうかな?」
部活顧問が右手を上げ、一枚のディスクをタクヤに見せた。そのディスクの表面には『ユイとの思い出』と書かれていた。
To be continued...?