第8話 [カードーゲーマー・滝川ユウタ!!]
第8話「ユウタ、決断!」
ブリーフ姿で戦争法案(平和安全法制)反対デモに参加したユウタはその日から英雄となり、マスコミ各社は彼を『ブリーフ姿の革命家』と呼んだ。
ある情報番組に出演していた芸能評論家はこう述べている。「あの歴史的な集会に彼(ユウタ)の存在は不可欠でしょう。そう、彼はまるでメシアだった。私もあの現場にいたから分かるんですよ。日本の民主主義は彼のような革命家によって守られると私は思います。そう思うでしょ?」
ユウタはある意味で有名となって取材を受けるようになり、本の出版やドキュメンタリー作成の申し出まであった。まさにピンチを逆手に取ったのだ!
(よっしゃぁー!!これで俺も有名人だぁ!金持ちだ!誰も俺をバカにできないぜぇ!イエェイ!!)
しかし、いいことばかりではなかった。テレビ報道によって彼を探していた人々が次々と行動を始めたのだ。
インターホンが鳴ると同時にノック音が聞こえた。
ユウタは目を擦りながら隣で寝ている女性を起こさないようにベッドから降りた。この女性はユウタ主催の反政府デモ集会で出会った女性17号であった。つまり、彼は自分の地位を利用して女性漁りをしているのである!
バスローブを羽織ったユウタの耳に驚くべく声が聞こえてきた。「警察です。少し伺いたいことがあります。」
(なっ、なっ、なんやてぇー!!!サツが何のようだ?まさか、この前寝た女が警察に通報したのか?いや、もしかするとこの前、歩道でオ○ニーしたのがフライデーされたからか?いやいや、もしかするとABEが俺を脅威と見て始末しに来たのかもしれない。そうだ。違いない。それしかない。どうすればいい?)
「どうしたんですか、ユウタさん?」ベッドで寝ていた女性が問いかけてきた。
「何でもねェ!」咄嗟にユウタは怒鳴ってしまった。
これを聞いたドアの前にいた刑事は大声で「いるならドアを開けてもらえませんか?」と言った。
(クッソーメン!やっぱり揖保の糸…冷静になるんだ。)
カードゲーマーとしての才能をユウタは生かして戦術を練り始めた。
(これしかあるまい…)
ユウタは床に落ちていた服を着ると、寝ている女性の財布から現金を抜き取ってベランダに出る。そして、隣のベランダからベランダへと移動して非常階段まで行き、全力で一階まで走った。彼はまだベランダを利用した移動がバレていないと思っていたが、アパートの裏手に待機していた捜査官はそれを目撃していて追跡を始めていた。それでも悪運の強いユウタはタクシーを捕まえて難を逃れた。
都合のいい女4号の家に隠れたユウタであったが、おつかいに行くよう言われて近くのコンビニに向かった。もちろん変装は忘れていない。白銀のカツラに油性ペンで書いた顎髭は完璧にユウタを別人に変えていた!しかし、これは別の意味で注目を集める格好でもあった!そして、ユウタは最悪な相手に捕まってしまう。
「滝川さんっ!」買い物を終えたユウタを誰かが呼び止めた。
振り向くとそこには二人の男がいて、その一人にユウタは見覚えがあった。元上司の沢辺であった。変装しているユウタは知らん振りをして逃げようとしたが遅いことに気付いた。彼は沢辺の声に反応してしまったからだ!
「探しましたよ。」距離を詰めながら沢辺が言う。「あなたの両親に聞いたら東京に行ったと教えてくれました。でも、場所が分からなかった…」
「何故、ここに?」とユウタ。
「借金ですよ。あなたは私から50万借りてるんですよ。それに利息が30万もあるんだ。早く返して下さいよぉ~」
(そうだ!コイツから金を借りてたんだっけ…でも、どういうことだぁ?利息が30万?)
「そんなの払えるわけないだろうがいぃ!!」ユウタは吠えた。
「それじゃ仕方ないねぇ~。やっておしまい、イルボーヌス・武田!」
沢辺がそういうと彼の背後で待機していた男が現れてユウタの顔面にパンチを喰らわせた。強烈なパンチにユウタは「ヒデブッ!」と言って転んだ。色黒のイルボーヌス・武田は続けてユウタの上に乗ってマウントポジションを取ると、変装していたユウタの顔が腫れあがるまで殴り続けた。
「うぅほぉーーーーーーーー!!!!!!」イルボーヌス・武田の雄叫びが夜の市街地に響いた。「ヤっていいの?コイツ、ヤっていいの?」色黒のイルボーヌス・武田がギラギラした双眸を沢辺に向ける。
「ダメだ。変な病気を持ってるかもしれないだろ?」
「そうか。そうだね。じゃ、どうするの?」
「ほっとけ。それよりホテルに帰って“お楽しみ”の続きをするぞい。」
「やっほぉーーーーーーーいいいいいいいいぃ!!」
二人はユウタを残して去って行った。かろうじて意識のあったユウタは這ってコンビニまで戻って救急車を呼んでもらおうとしたが、病院に行けば警察に捕まると予想して踏みとどまった。
(どうなってんだってばよ…?一体…)
身を丸めてユウタは泣くしかなかった。
それから9ヶ月が過ぎた。ユウタは逃亡し続けながら、アルバイトをして沢辺に増え続ける借金を細々と返している。給料の8割が借金の返済に消え、毎日ギリギリの生活を強いられているのだ。それでもアルバイト先の上司・佐久間は苦しんでいるユウタに食事を奢ったりしていた。
その日もユウタは佐久間に連れられて小さな定食屋に来ていた。
「いつもいつもありがとうございます、佐久間さん。」ユウタが頭を下げる。
「気にすんじゃないよ、ヨウちゃん。」笑顔で初老の男が応えた。
ユウタは職場で川村ヨウと名乗っており、数か月前に上京してきたと嘘をついていた。
何気なくユウタはカウンターの隅に置かれていた中型テレビを見た。画面にはバラエティー番組が流れており、内容は「奇跡の大富豪たち」というものであった。
(俺はスターだったのに…反政府デモのスターだった。もしかしたら、コイツらみたいな金持ちになれ―)
その時であった!ユウタの目にある人物が映った。当時より少し太っているが、あの特徴的な顔を忘れることなどできない。
(エンドゥ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
そう!西野と植松と言うフリーターから計100万を騙し取った男である!!ユウタは穴が開くほどテレビを見つめた。
「たまたま、投資した企業の業績が伸び始めましてね。それからカードゲーム『プレイ・ザ・ギャザリング』を中国限定で発売したら…ブゥオンと売れたんですよ。時代はやっぱりチャイナですよ。おっと、失礼。英語が出てしまった。」テレビに映る遠藤が言った。
(あの野郎!山分けするとか言っておきながらーーーーーーーーーーーぁ!!!!!!)
「遠藤さんのようになるためには、どうすればいいのでしょうか?」番組司会者が金色のスーツに身を包む遠藤に尋ねる。
「そうですね。見極める力だな。私の知り合いに幼稚なカードゲームに夢中になっている男がいましてね。この男はついこの前までブリーフ姿で反政府デモに参加してた。」
(ブリーフ姿?って、それ…俺の事じゃねェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーかよぉぉぉぉ!!)
「彼にように藪から棒に行動する男は失敗する。だけど、私のように計画的に行動できる男は成功する。ビジネスもセイムだよ…おっと、また英語を使ってしまったよ。ははははっ。」
「凄い人もいるなぁ~」佐久間が酒を飲み、ユウタの方を向く。しかし、そこに部下の姿はなかった。
(来週は身勝手ながらお休みを頂きます。次回は6月2日と3日です。)
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by Matinfemo (2018-04-17 04:54)