Episode 11(終) [英雄たちの戦い]
Episode 11
カケルは部活のことで思い悩んでいる時、誤って女子トイレに入ってしまったと正直に担当教員に話した。だが、途中で逃げ出したために教員は嘘をついていると思い、400字詰め原稿用紙1枚分の反省文を書くよう命じた。
この男の凄いところは、その反省文に最近書き上げた歌詞を書いたことである。カケルは素晴らしい詞を書いたと思い、それを反省文に書けば許され、さらに音楽業界に進出できると夢を見ていた。この反省文によってカケルは10枚の反省文を書くことを命じられた。
一方、エロDVDを持ちこんだことが発覚して没収されたタクヤは、放送部の顧問に注意された後に親へ連絡された。エロDVDの没収、そして、好きな女性の前で辱めを受けた彼は不登校になり、人生に嫌気が差して自殺を考えた。だが、彼はインターネットで見つけた『池上流モテ術』を参考にして自信を取り戻し、再び小日向への強い思いを抱いて復学した。
ユウタは今回の騒動は全て、期限切れの焼きそばパンを販売した弁当屋の責任だと主張した。しかし、腹痛を起こした後の彼の行動と焼きそばパンに因果関係はないと結論づけられ、彼は400字詰め原稿用紙6枚の反省文を書くことになった。
このような失態を犯しても、ユウタは吹奏楽部の副団長として定期演奏会に出席した。勿論、指揮者として。彼は楽器を演奏することができない。それは天性の〝不器用さ〟から来るものであった。
「みんな、準備はいいか?」ユウタが部員たちに声をかけた。
円陣を組む部員たちは首を縦に振った。あの露出事件からユウタと話す部員は30人から2人に減っていた。
「よしッ!行こうぜぇー!」
この時のユウタの服装は演奏会のために用意した黄色いTシャツと同色の異様に短いショートパンツであった。Tシャツはサイズが大き過ぎて、ショートパンツを隠すほど長い。ゆえに知らない人が見ればTシャツしか着ていないように見える。
他の部員たちは、彼の格好がネタなのか、それとも趣味なのか、もう分からなくなっていた。ちなみに、吹奏楽部内でユウタは『露出狂』と呼ばれているが、彼はまだ気付いていない。
部員たちが担当楽器のある位置へ歩き、準備を整え始める。そして、幕が上がるとユウタが指揮台に登壇した。彼は観客の方へ向き、一礼する。観客の中には当時の事件を知る学生とその保護者がおり、ユウタの格好を見ると動揺が広がった。
「みなさんッ!」ホールに響く大声でユウタが叫んだ。「定期演奏会へようこそッ!今日は楽しんでくださいねッ!」再び一礼して観客に背を向ける。
しかし、ユウタは思い出したように振り返った。
「安心してくださいッ!」ユウタがTシャツを捲り上げた。「履いてますよッ!」
その直後、ショートパンツがずれ落ちてホールに悲鳴が木霊した。
カケルは部活のことで思い悩んでいる時、誤って女子トイレに入ってしまったと正直に担当教員に話した。だが、途中で逃げ出したために教員は嘘をついていると思い、400字詰め原稿用紙1枚分の反省文を書くよう命じた。
この男の凄いところは、その反省文に最近書き上げた歌詞を書いたことである。カケルは素晴らしい詞を書いたと思い、それを反省文に書けば許され、さらに音楽業界に進出できると夢を見ていた。この反省文によってカケルは10枚の反省文を書くことを命じられた。
一方、エロDVDを持ちこんだことが発覚して没収されたタクヤは、放送部の顧問に注意された後に親へ連絡された。エロDVDの没収、そして、好きな女性の前で辱めを受けた彼は不登校になり、人生に嫌気が差して自殺を考えた。だが、彼はインターネットで見つけた『池上流モテ術』を参考にして自信を取り戻し、再び小日向への強い思いを抱いて復学した。
ユウタは今回の騒動は全て、期限切れの焼きそばパンを販売した弁当屋の責任だと主張した。しかし、腹痛を起こした後の彼の行動と焼きそばパンに因果関係はないと結論づけられ、彼は400字詰め原稿用紙6枚の反省文を書くことになった。
このような失態を犯しても、ユウタは吹奏楽部の副団長として定期演奏会に出席した。勿論、指揮者として。彼は楽器を演奏することができない。それは天性の〝不器用さ〟から来るものであった。
「みんな、準備はいいか?」ユウタが部員たちに声をかけた。
円陣を組む部員たちは首を縦に振った。あの露出事件からユウタと話す部員は30人から2人に減っていた。
「よしッ!行こうぜぇー!」
この時のユウタの服装は演奏会のために用意した黄色いTシャツと同色の異様に短いショートパンツであった。Tシャツはサイズが大き過ぎて、ショートパンツを隠すほど長い。ゆえに知らない人が見ればTシャツしか着ていないように見える。
他の部員たちは、彼の格好がネタなのか、それとも趣味なのか、もう分からなくなっていた。ちなみに、吹奏楽部内でユウタは『露出狂』と呼ばれているが、彼はまだ気付いていない。
部員たちが担当楽器のある位置へ歩き、準備を整え始める。そして、幕が上がるとユウタが指揮台に登壇した。彼は観客の方へ向き、一礼する。観客の中には当時の事件を知る学生とその保護者がおり、ユウタの格好を見ると動揺が広がった。
「みなさんッ!」ホールに響く大声でユウタが叫んだ。「定期演奏会へようこそッ!今日は楽しんでくださいねッ!」再び一礼して観客に背を向ける。
しかし、ユウタは思い出したように振り返った。
「安心してくださいッ!」ユウタがTシャツを捲り上げた。「履いてますよッ!」
その直後、ショートパンツがずれ落ちてホールに悲鳴が木霊した。
END
ご愛読ありがとうございました。
ハヤオ・エンデバーの新作に御期待下さい!
Episode 10 [英雄たちの戦い]
Episode 10
(ば、ばッ、バカなッ!)
タクヤは部活顧問の右手にあるDVDを見て驚きを隠せなかった。
「君の物なのかい?」額の広い部活顧問が尋ねた。
全身から冷や汗が吹き出し、心臓が異常なほどに高鳴った。
(あれがアイツの手にあるということは…俺の持っているDVDは…?)
「先生、すぐに戻ってきます…」小日向がタクヤの隣を抜けて職員室に入った。
(小日向さんの前でこのような屈辱をッ!許さん!許さんぞぉー!)
「部長、やっぱり無かったです。」小日向が戻ってきた。
「ありがとう。」背の低い放送部の部長が言った。「往生際の悪い男だ…ポケットの物を全部出しなさいッ!」
タクヤは追い込まれ、穴があれば入りたい気持ちであった。
「ポケットの中を見せてくれるかな?」部活顧問が押し黙っているタクヤにやさしく話しかけた。
「な、な、なにも、何も入って、ね、ね、ねぇで、げすよ…」
「出した方が身のためだよ。」彼の背後にいる小日向が言った。
(小日向さん…違うんだ…俺は…俺はッ!)
その時、痺れを切らした放送部の部長がタクヤの制服のポケットに触れ、CDケースを見つけると素早く取り出した。
「まさかこんな餌で釣れるとはねぇ~」部長がニヤリと笑った。「あの放送もアンタでしょ?」
タクヤは探偵や刑事に追い詰められる犯人の気持ちであった。
「ち、違うッ!それは友だちに借してたDVDだッ!中身を確認してみろッ!」タクヤが叫んだ。その鬼気迫る言い方は見苦しく、その場にいた放送部の顧問と生徒は彼が犯人だと悟った。
「そうかい…」部長がCDケースを開けて中身をタクヤに見せた。そのケースには『引っかかったな、バーカ』と書かれディスクが入っていた。「これが君のDVDかね?」
(は、嵌められたッ!)
「い、いや…き、きっと、と、とも、友だちが、な、なか、中身を…」タクヤは言葉を詰まらせた。
「詳しい話しを聞かせてもらおうか…」
部活顧問に背中を押されてタクヤは職員室へ連れて行かれた。
(ば、ばッ、バカなッ!)
タクヤは部活顧問の右手にあるDVDを見て驚きを隠せなかった。
「君の物なのかい?」額の広い部活顧問が尋ねた。
全身から冷や汗が吹き出し、心臓が異常なほどに高鳴った。
(あれがアイツの手にあるということは…俺の持っているDVDは…?)
「先生、すぐに戻ってきます…」小日向がタクヤの隣を抜けて職員室に入った。
(小日向さんの前でこのような屈辱をッ!許さん!許さんぞぉー!)
「部長、やっぱり無かったです。」小日向が戻ってきた。
「ありがとう。」背の低い放送部の部長が言った。「往生際の悪い男だ…ポケットの物を全部出しなさいッ!」
タクヤは追い込まれ、穴があれば入りたい気持ちであった。
「ポケットの中を見せてくれるかな?」部活顧問が押し黙っているタクヤにやさしく話しかけた。
「な、な、なにも、何も入って、ね、ね、ねぇで、げすよ…」
「出した方が身のためだよ。」彼の背後にいる小日向が言った。
(小日向さん…違うんだ…俺は…俺はッ!)
その時、痺れを切らした放送部の部長がタクヤの制服のポケットに触れ、CDケースを見つけると素早く取り出した。
「まさかこんな餌で釣れるとはねぇ~」部長がニヤリと笑った。「あの放送もアンタでしょ?」
タクヤは探偵や刑事に追い詰められる犯人の気持ちであった。
「ち、違うッ!それは友だちに借してたDVDだッ!中身を確認してみろッ!」タクヤが叫んだ。その鬼気迫る言い方は見苦しく、その場にいた放送部の顧問と生徒は彼が犯人だと悟った。
「そうかい…」部長がCDケースを開けて中身をタクヤに見せた。そのケースには『引っかかったな、バーカ』と書かれディスクが入っていた。「これが君のDVDかね?」
(は、嵌められたッ!)
「い、いや…き、きっと、と、とも、友だちが、な、なか、中身を…」タクヤは言葉を詰まらせた。
「詳しい話しを聞かせてもらおうか…」
部活顧問に背中を押されてタクヤは職員室へ連れて行かれた。
To be continued...?
今月は完全にブログを乗っ取られた… [その他]
最近はWNの記事より、ハヤオの物語を公開している方が多いです。
これはNが売れっ子アーティストになり、活動しなくても収入が入るからでしょうね。
さて、今週で『英雄たちの戦い』も終わりです。水曜日に最終話が公開され、木曜日と金曜日に『S.N.A.F.U.』が公開されるようです。
その後の予定は不明ですが、おそらくハヤオは長い休みを取ると思うので、これからはWNの記事に集中できると思います。はい。
ちなみに『英雄たちの戦い』の登場人物にはモデルがおり、実話を基に書いています。脚色は加えていますが、「まぁ、こんな学生生活もある、またはあったよねって感じで読む物よ」とハヤオは言ってます。
あまりにも下品なので読む人もいないでしょうが、楽しみにしている方は最後まで付き合うことはせず、すぐに別のサイトに移動してください。お願いします。
それじゃ!
これはNが売れっ子アーティストになり、活動しなくても収入が入るからでしょうね。
さて、今週で『英雄たちの戦い』も終わりです。水曜日に最終話が公開され、木曜日と金曜日に『S.N.A.F.U.』が公開されるようです。
その後の予定は不明ですが、おそらくハヤオは長い休みを取ると思うので、これからはWNの記事に集中できると思います。はい。
ちなみに『英雄たちの戦い』の登場人物にはモデルがおり、実話を基に書いています。脚色は加えていますが、「まぁ、こんな学生生活もある、またはあったよねって感じで読む物よ」とハヤオは言ってます。
あまりにも下品なので読む人もいないでしょうが、楽しみにしている方は最後まで付き合うことはせず、すぐに別のサイトに移動してください。お願いします。
それじゃ!
Episode 9 [英雄たちの戦い]
Episode 9
ドアが開くと同時にユウタは女性教員に突き飛ばされて床に叩きつけられた。カケルは個室へ逃げようとしたが、その前に男性教員に腕を掴まれた。
「やめろぉー!俺は変態じゃないッ!アイツの方だぁー!」下半身を露出させたユウタが叫び声を上げた。変態であることを否定しても、彼の格好が変態であることを証明していた。
「いいから!こっちに来いッ!」男性教員の一人がユウタの腕を引いて言った。
カケルは自分が被害者であることを訴えようとしたが、ユウタ同様、両腕を掴まれて女子トイレから引きずり出された。しかし、彼は下半身を晒しているユウタと違って抵抗せず、そのお陰で監視の目が緩んだ。
(逃げるなら今だッ!)
カケルは走り出した。家に帰る。それが彼の唯一の目的であった。しかし、彼はすぐ転んで女性教員に捕まってしまった。
「変態が逃げるぞぉー!アイツが変態だYO!俺は服を盗まれただけなんだぁ~YO!」ユウタが捕えられたカケルに向かって叫んだ。
「変態はお前だッ!」男性教員の一人がユウタの右腕を引いて言った。
「ノォーーーーーーーーーーーッ!」
ドアが開くと同時にユウタは女性教員に突き飛ばされて床に叩きつけられた。カケルは個室へ逃げようとしたが、その前に男性教員に腕を掴まれた。
「やめろぉー!俺は変態じゃないッ!アイツの方だぁー!」下半身を露出させたユウタが叫び声を上げた。変態であることを否定しても、彼の格好が変態であることを証明していた。
「いいから!こっちに来いッ!」男性教員の一人がユウタの腕を引いて言った。
カケルは自分が被害者であることを訴えようとしたが、ユウタ同様、両腕を掴まれて女子トイレから引きずり出された。しかし、彼は下半身を晒しているユウタと違って抵抗せず、そのお陰で監視の目が緩んだ。
(逃げるなら今だッ!)
カケルは走り出した。家に帰る。それが彼の唯一の目的であった。しかし、彼はすぐ転んで女性教員に捕まってしまった。
「変態が逃げるぞぉー!アイツが変態だYO!俺は服を盗まれただけなんだぁ~YO!」ユウタが捕えられたカケルに向かって叫んだ。
「変態はお前だッ!」男性教員の一人がユウタの右腕を引いて言った。
「ノォーーーーーーーーーーーッ!」
To be continued...?
Episode 8 [英雄たちの戦い]
Episode 8
3階奥にある女子トイレの騒動の陰でタクヤはほくそ笑んでいた。
友人の谷口と放送室で昼食を取ることがあったので、校内アナウンスの仕方を覚える機会があり、それが役立つ日が来るとは夢にも思っていなかった。
(混乱を起こせば、3階に注意が行って職員室が手薄になるだろう。そう!そこを狙って俺のDVDを回収するッ!)
タクヤは急いで放送室から飛び出し、1階にある職員室へ急いだ。
(DVDを渡すとすれば、部活の顧問だろう…俺の記憶が正しければ顧問は現代文の五十嵐だったはずだ…奴が3階に行ってることを願うしかないッ!)
1階に着くと、放送部の部長と小日向が職員室横にある階段を部活顧問の教員と共に駆け上がるのを目撃した。
(神はやはり俺の味方だッ!)
タクヤは額に薄らと浮かんだ汗を手の甲で拭い、職員室の中へ入った。幸いなことに担任教員の姿もなく、特に怪しまれることもなかった。彼は暇そうに小テストの採点を行っていた中年の女性教員に近づいた。
「あのぉ~」
タクヤが声をかけると中年の女性教員が顔を上げた。
「五十嵐先生の机は何所ですか?」
「隣の列の右から3つ目よ。」
「ありがとうございます!」
想像を超えるほどスムーズに進んでいることにタクヤは喜び、それを顔に出さないよう歯を食いしばって真剣な表情を作り上げた。
(もう少しで、俺のユイに会える…)
目的の机に近づくと、書類の上に置かれたCDケースを見つけた。
(よし…)
タクヤは周囲を確認してからCDケースを取って、それを制服のポケットに滑り込ませた。
(あとは家に帰って、ユイとの時間を楽しむとしよう…)
職員室を後にしてタクヤは今日の出来事を思い起こしていた。
(色々あったな…このDVDは不思議な力を持っているに違いない。ある意味、ユイの力だろう。彼女のお陰で小日向さんを近くで見ることができた。そうだ。今度、話しかけてみよう。そうだ。そうしよう。)
帰宅しようと職員室横の階段前に差し掛かると、好意を寄せている小日向と遭遇した。彼女はタクヤを見ると目を見開き、タクヤはこの時、雑誌に書かれていた『女性は好きな人と会うと瞳孔が開く』現象に直面したと思った。
(話しかけるしかあるまいッ!)
「あ、あにょぉ~」緊張するタクヤは上手く話せなかった。
「ちょっとここで待っててッ!」
そう言い残して小日向は階段を駆け上がって行った。
(化粧を直しに行ったのかな?そんな必要なんてないのに…)
数分後、小日向が放送部の部活顧問と部長を連れて降りてきた。
(何で?何でそんなに沢山引き連れてるの?)
「君かい?不適切な物を放送室で見ていたのは?」額の広い男性教員がタクヤに尋ねた。教員の後ろで放送部の部長と小日向がタクヤを監視していた。
「何のことですか?」タクヤが尋ね返した。小日向の手前、彼は白を切り通す気であった。
「君じゃないのか?」
「言ってる意味が分かりません。」
「それじゃ、これはどうかな?」
部活顧問が右手を上げ、一枚のディスクをタクヤに見せた。そのディスクの表面には『ユイとの思い出』と書かれていた。
3階奥にある女子トイレの騒動の陰でタクヤはほくそ笑んでいた。
友人の谷口と放送室で昼食を取ることがあったので、校内アナウンスの仕方を覚える機会があり、それが役立つ日が来るとは夢にも思っていなかった。
(混乱を起こせば、3階に注意が行って職員室が手薄になるだろう。そう!そこを狙って俺のDVDを回収するッ!)
タクヤは急いで放送室から飛び出し、1階にある職員室へ急いだ。
(DVDを渡すとすれば、部活の顧問だろう…俺の記憶が正しければ顧問は現代文の五十嵐だったはずだ…奴が3階に行ってることを願うしかないッ!)
1階に着くと、放送部の部長と小日向が職員室横にある階段を部活顧問の教員と共に駆け上がるのを目撃した。
(神はやはり俺の味方だッ!)
タクヤは額に薄らと浮かんだ汗を手の甲で拭い、職員室の中へ入った。幸いなことに担任教員の姿もなく、特に怪しまれることもなかった。彼は暇そうに小テストの採点を行っていた中年の女性教員に近づいた。
「あのぉ~」
タクヤが声をかけると中年の女性教員が顔を上げた。
「五十嵐先生の机は何所ですか?」
「隣の列の右から3つ目よ。」
「ありがとうございます!」
想像を超えるほどスムーズに進んでいることにタクヤは喜び、それを顔に出さないよう歯を食いしばって真剣な表情を作り上げた。
(もう少しで、俺のユイに会える…)
目的の机に近づくと、書類の上に置かれたCDケースを見つけた。
(よし…)
タクヤは周囲を確認してからCDケースを取って、それを制服のポケットに滑り込ませた。
(あとは家に帰って、ユイとの時間を楽しむとしよう…)
職員室を後にしてタクヤは今日の出来事を思い起こしていた。
(色々あったな…このDVDは不思議な力を持っているに違いない。ある意味、ユイの力だろう。彼女のお陰で小日向さんを近くで見ることができた。そうだ。今度、話しかけてみよう。そうだ。そうしよう。)
帰宅しようと職員室横の階段前に差し掛かると、好意を寄せている小日向と遭遇した。彼女はタクヤを見ると目を見開き、タクヤはこの時、雑誌に書かれていた『女性は好きな人と会うと瞳孔が開く』現象に直面したと思った。
(話しかけるしかあるまいッ!)
「あ、あにょぉ~」緊張するタクヤは上手く話せなかった。
「ちょっとここで待っててッ!」
そう言い残して小日向は階段を駆け上がって行った。
(化粧を直しに行ったのかな?そんな必要なんてないのに…)
数分後、小日向が放送部の部活顧問と部長を連れて降りてきた。
(何で?何でそんなに沢山引き連れてるの?)
「君かい?不適切な物を放送室で見ていたのは?」額の広い男性教員がタクヤに尋ねた。教員の後ろで放送部の部長と小日向がタクヤを監視していた。
「何のことですか?」タクヤが尋ね返した。小日向の手前、彼は白を切り通す気であった。
「君じゃないのか?」
「言ってる意味が分かりません。」
「それじゃ、これはどうかな?」
部活顧問が右手を上げ、一枚のディスクをタクヤに見せた。そのディスクの表面には『ユイとの思い出』と書かれていた。
To be continued...?
Episode 7 [英雄たちの戦い]
Episode 7
「す、すいませぇーん?そこの服を取ってもらえまぁーすぅ?」
ユウタの必死の頼みは、出入り口の前で固まる男子生徒にとって罠にしか思えなかった。
(何で応えてくれないんだッ!)ユウタは怒っていた。
(何で誰も真剣に返信してくれないんだッ!)男子生徒も彼の友人たちに対して怒っていた。
ユウタは再び声をかけようとしたが、これ以上やっても意味がないと考え、個室のドアの下にある隙間から手を伸ばして制服のスラックスとブリーフを掴もうとした。
(させるかッ!)なぜか男子生徒はユウタの手がスラックとブリーフに触れると、急いでそれを取り上げてトイレから飛び出した。(これで変態はトイレから出ることはできないッ!)
一度指に触れた服が消え、トイレのドアが開く音を耳にしたユウタは自分の服が盗まれたと推測した。
「ドロボーッ!」
彼は下半身に何も身に着けていないことを忘れてトイレから飛び出し、そこで自分のスラックスを持つ男子生徒と遭遇した。
「かぁーえぇーせぇーッ!」
ユウタが男子生徒に飛び掛かり、襲われそうになった男子生徒は走り出した。
「まてぇーいッ!」
下半身を晒すユウタが追跡を開始しようとした時、頭上にあったスピーカーから男の声が聞こえてきた。
<3階の男子トイレに変態がいます。皆さん、気を付けてください。非常に凶悪な変態です。>
「この階に変態だと?」ユウタが周囲を見渡した。
すると、背後から女性の悲鳴が上がった。ユウタが振り返ると、走り去る女子生徒とスマートフォンを彼に向ける数人の生徒がいた。
(何所だ、変態野郎ッ!俺が―)
「お前、そこで何やってる!」
男の怒号が廊下に響き、接近して来る足音が聞こえてきた。
(まさか…)
やっとユウタは下半身に何も身に着けてないことを思い出した。
(凶悪な変態って、俺…なのか…?)
前と後ろから近づいてくる男性教員の姿を見ると、ユウタは急いで真横にあったトイレのドアを押し開けた。彼は再び個室に籠ろうとしたのだ。だが、そこで下半身を晒す男は三人の女子生徒と遭遇した。
(な、何だとッ!)
突然の乱入者に女子生徒たちの視線はユウタに向けられた。
「これには事情があるんです…」個室から何も知らないカケルが出てきた。
女子トイレに現れた変態二人を目撃した3人の女子生徒たちは、甲高い悲鳴を上げて走り出した。彼女たちはドアを防ぐユウタを押し退け、化粧道具を残したままトイレから逃げた。
その頃、男性教員たちは下半身を露出しているユウタが女子トイレに逃げ込んだため、突入に躊躇していた。先程、三人の女子生徒たちが飛び出してきたが、中にまだ女子生徒がいる可能性もある。ゆえに一人の男性教員は女性教員の到着を待つべきだと考えた。しかし、残りの教員たちは直ちに突入すべきだと主張し、野次馬として集まって来た生徒たちの前で言い争いを始め出した。
ユウタとカケルは瞬き一つせずに見つめ合い、互いに状況を理解しようと努めた。男子トイレに逃げたと思っているユウタは女子生徒と遭遇してパニックに陥っていた。そして、トイレ内にいたカケルは、変態に関する校内アナウンスが聞こえていなかったので、状況が呑み込めていない。
(ここ、男子トイレだよな?)とユウタ。
(この人は何で下半身、裸なんだ?そして、何で女子トイレに?)とカケル。
見つめ合っていると、ドアの外から声が聞こえてきた。
「出てこいッ!」
(待てよ。変態は俺じゃなくて、コイツかッ!)ユウタはカケルの顔を吟味した。(確かにスケベな顔してるぜ…)
「みんながお前を探してるぜ…」ユウタが両手で股間を抑えて口を開いた。「変態さんよぉ~」
(下半身露出してるくせに僕を変態扱いするなんてッ!)カケルは怒って歯を食いしばった。
「悪いことは言わねぇよ、変態さん。ここから―」
「変態はアンタでしょッ!」カケルがユウタを遮った。
「何をッ!どの口がそんな―」
その時、女子トイレのドアが押し開けられ、二人の女性教員と三人の男性教員が突入してきた。
「す、すいませぇーん?そこの服を取ってもらえまぁーすぅ?」
ユウタの必死の頼みは、出入り口の前で固まる男子生徒にとって罠にしか思えなかった。
(何で応えてくれないんだッ!)ユウタは怒っていた。
(何で誰も真剣に返信してくれないんだッ!)男子生徒も彼の友人たちに対して怒っていた。
ユウタは再び声をかけようとしたが、これ以上やっても意味がないと考え、個室のドアの下にある隙間から手を伸ばして制服のスラックスとブリーフを掴もうとした。
(させるかッ!)なぜか男子生徒はユウタの手がスラックとブリーフに触れると、急いでそれを取り上げてトイレから飛び出した。(これで変態はトイレから出ることはできないッ!)
一度指に触れた服が消え、トイレのドアが開く音を耳にしたユウタは自分の服が盗まれたと推測した。
「ドロボーッ!」
彼は下半身に何も身に着けていないことを忘れてトイレから飛び出し、そこで自分のスラックスを持つ男子生徒と遭遇した。
「かぁーえぇーせぇーッ!」
ユウタが男子生徒に飛び掛かり、襲われそうになった男子生徒は走り出した。
「まてぇーいッ!」
下半身を晒すユウタが追跡を開始しようとした時、頭上にあったスピーカーから男の声が聞こえてきた。
<3階の男子トイレに変態がいます。皆さん、気を付けてください。非常に凶悪な変態です。>
「この階に変態だと?」ユウタが周囲を見渡した。
すると、背後から女性の悲鳴が上がった。ユウタが振り返ると、走り去る女子生徒とスマートフォンを彼に向ける数人の生徒がいた。
(何所だ、変態野郎ッ!俺が―)
「お前、そこで何やってる!」
男の怒号が廊下に響き、接近して来る足音が聞こえてきた。
(まさか…)
やっとユウタは下半身に何も身に着けてないことを思い出した。
(凶悪な変態って、俺…なのか…?)
前と後ろから近づいてくる男性教員の姿を見ると、ユウタは急いで真横にあったトイレのドアを押し開けた。彼は再び個室に籠ろうとしたのだ。だが、そこで下半身を晒す男は三人の女子生徒と遭遇した。
(な、何だとッ!)
突然の乱入者に女子生徒たちの視線はユウタに向けられた。
「これには事情があるんです…」個室から何も知らないカケルが出てきた。
女子トイレに現れた変態二人を目撃した3人の女子生徒たちは、甲高い悲鳴を上げて走り出した。彼女たちはドアを防ぐユウタを押し退け、化粧道具を残したままトイレから逃げた。
その頃、男性教員たちは下半身を露出しているユウタが女子トイレに逃げ込んだため、突入に躊躇していた。先程、三人の女子生徒たちが飛び出してきたが、中にまだ女子生徒がいる可能性もある。ゆえに一人の男性教員は女性教員の到着を待つべきだと考えた。しかし、残りの教員たちは直ちに突入すべきだと主張し、野次馬として集まって来た生徒たちの前で言い争いを始め出した。
ユウタとカケルは瞬き一つせずに見つめ合い、互いに状況を理解しようと努めた。男子トイレに逃げたと思っているユウタは女子生徒と遭遇してパニックに陥っていた。そして、トイレ内にいたカケルは、変態に関する校内アナウンスが聞こえていなかったので、状況が呑み込めていない。
(ここ、男子トイレだよな?)とユウタ。
(この人は何で下半身、裸なんだ?そして、何で女子トイレに?)とカケル。
見つめ合っていると、ドアの外から声が聞こえてきた。
「出てこいッ!」
(待てよ。変態は俺じゃなくて、コイツかッ!)ユウタはカケルの顔を吟味した。(確かにスケベな顔してるぜ…)
「みんながお前を探してるぜ…」ユウタが両手で股間を抑えて口を開いた。「変態さんよぉ~」
(下半身露出してるくせに僕を変態扱いするなんてッ!)カケルは怒って歯を食いしばった。
「悪いことは言わねぇよ、変態さん。ここから―」
「変態はアンタでしょッ!」カケルがユウタを遮った。
「何をッ!どの口がそんな―」
その時、女子トイレのドアが押し開けられ、二人の女性教員と三人の男性教員が突入してきた。
To be continued...?
Episode 6 [英雄たちの戦い]
Episode 6
「カケルッ!てめぇ、何所にいるんだよォ!」
スマートフォンから先輩の怒鳴り声が聞こえてきた。その声は携帯電話を耳に近づけなくても聞こえ、それは鏡の前で化粧直しをしていた3人の女子生徒の耳にも届いていた。カケルは急いで電話を切った。
(ヤバいよ。先輩、めちゃくちゃ怒ってる…)
「ちょっと…聞いた?」一人の女子生徒が口を開いた。
「何を?」鏡に顔を近づけてまつ毛を上げている女子生徒が尋ねる。
「個室の方から…男の声が聞こえたんだけど…」三人目の女子生徒がカケルのいる個室を見て言った。
「気のせいじゃない?」まつ毛を上げるのに忙しい女性生徒はさらに顔を鏡に近づけた。
(ば、バレたッ!)
「ちょっと確認してみる…」化粧直しを終えた三人目の女子生徒がカケルの個室に歩み寄った。
それをドアの隙間から見てカケルは便器の上に乗って身を丸めた。
(どうしよう!どうしよう!どうしよう!どうしよう!どうしよう!)
危機的状況にあるにも関わらず、ミュージシャンを目指すカケルの頭に歌詞が浮かんできた。
(トイレ、そこは安らぎの場所。トイレ、そこは秘めたる場所。そして、そこは―)
女子生徒の一人がカケルのいるドアを強くノックし、湧水のように溢れ出てきた詞を遮り、彼を現実へ引き戻した。
「ちょっと!そこにいるの誰?出てきなさいよ。」
(マズイ…非常にマズイ…)
再び先輩から着信が入り、カケルの頭はパンク寸前であった。
(ここは正直に言おう。そうすれば、許してくれるさ…)
この時、カケルは女子生徒たちとなら分かり合えるはずだと信じてドアの鍵を解いた。
「カケルッ!てめぇ、何所にいるんだよォ!」
スマートフォンから先輩の怒鳴り声が聞こえてきた。その声は携帯電話を耳に近づけなくても聞こえ、それは鏡の前で化粧直しをしていた3人の女子生徒の耳にも届いていた。カケルは急いで電話を切った。
(ヤバいよ。先輩、めちゃくちゃ怒ってる…)
「ちょっと…聞いた?」一人の女子生徒が口を開いた。
「何を?」鏡に顔を近づけてまつ毛を上げている女子生徒が尋ねる。
「個室の方から…男の声が聞こえたんだけど…」三人目の女子生徒がカケルのいる個室を見て言った。
「気のせいじゃない?」まつ毛を上げるのに忙しい女性生徒はさらに顔を鏡に近づけた。
(ば、バレたッ!)
「ちょっと確認してみる…」化粧直しを終えた三人目の女子生徒がカケルの個室に歩み寄った。
それをドアの隙間から見てカケルは便器の上に乗って身を丸めた。
(どうしよう!どうしよう!どうしよう!どうしよう!どうしよう!)
危機的状況にあるにも関わらず、ミュージシャンを目指すカケルの頭に歌詞が浮かんできた。
(トイレ、そこは安らぎの場所。トイレ、そこは秘めたる場所。そして、そこは―)
女子生徒の一人がカケルのいるドアを強くノックし、湧水のように溢れ出てきた詞を遮り、彼を現実へ引き戻した。
「ちょっと!そこにいるの誰?出てきなさいよ。」
(マズイ…非常にマズイ…)
再び先輩から着信が入り、カケルの頭はパンク寸前であった。
(ここは正直に言おう。そうすれば、許してくれるさ…)
この時、カケルは女子生徒たちとなら分かり合えるはずだと信じてドアの鍵を解いた。
To be continued...?
Episode 5 [英雄たちの戦い]
Episode 5
(焦るな…まだ、DVDが見つかった訳ではない。)
放送室の前を行き来しながらタクヤは冷静さを取り戻そうとした。
(それにあれが俺の物だとは思わないだろう。となれば、まだ小日向さんと結ばれるチャンスはある。いや、結ばれるさ!)
その時、彼のスマートフォンが振動した。驚いたタクヤは急いで放送室の前から離れ、近くの階段の踊り場で一息ついた。壁に身を潜め、放送室と廊下を確認する。誰もいない。
胸を撫で下ろしてスマートフォンの画面を見る。友人から新着メッセージが届いており、アプリを起動して内容を確認する。
<3階のトイレに変態がいるからすぐに来てくれ!>
(そんなことしている余裕はねぇ!)タクヤは携帯電話をポケットに戻した。
再びポケットに振動が訪れ、彼は苛立ちながらスマートフォンを確認する。メッセージは友人たちで共有するグループチャットだったので、他の友人たちがイタズラ半分で返事していた。
(そうだ!谷口に助けを求めよう!)
タクヤは急いで登録している谷口のアカウントを選択してメッセージを送った。
<大至急学校に来てくれ!>
もう一度、放送室を確認しようと顔を壁から出した。すると、二人の女子生徒が出てきて、タクヤのいる方に歩いてきた。
(小日向さんはいない…)
そう思った時、近づいてくる女子生徒たちの会話が聞こえてきた。
「信じられないよね。学校であんなの見るなんて…」
「ウチの部員の仕業かな?」
「かもね。」
「それともさっき来た男かな?」
「ありえるね。多分、谷口くんと見てたんじゃない?」
「サイテー!」
(バレてる!つうか、見てたんじゃねぇの?ってくらい合ってる。)
二人との距離が近づいてきたので、タクヤは急いで階段を駆け上がって身を隠した。彼の悪口を言いながら二人の女子生徒は階段を下って行き、それを確認するとタクヤは再び放送室の様子を確認するために移動した。
(もしかしたら、小日向さんも俺のことを誤解している可能性がある。このままでは、アカンッ!)
再び壁に身を隠して放送室を確認した時、部長と思われる背の小さい女性と小日向が出てきた。部長の手にはCDケースがある。
(もしやッ!俺のユイ…いやDVDを職員室に持って行くつもりなのかッ?)
二人はタクヤが隠れている階段ではなく、数メートル先にある反対側の階段へ向かって歩き出した。
(向こうの階段を使えば、職員室への近道になる。あれを失うッ!そして、小日向さんは俺を『変態野郎』だと誤解してしまうッ!)
DVDを取り返したい気持ちはあったが、好きな女性の前でそのような情けない姿を見せることはできない。タクヤは小日向の後姿を見つめながら下唇を噛んだ。
(も、もうお終いだぁ…俺の高校生活はこんなことで終わってしまうのか…)
右手に持っていたスマートフォンが再び振動し、タクヤは驚いて飛び上がりそうになった。何事かと彼がスマートフォンの画面を覗き込んだ。
<変態にヤられそうなんだ!すぐ来てくれよ!>
再び3階のトイレで変態と遭遇した友人からメッセージが届いた。
(そんな暇なんて―)
その時、名案がタクヤの頭に浮かんだ。
(神は俺の味方のようだ…)
(焦るな…まだ、DVDが見つかった訳ではない。)
放送室の前を行き来しながらタクヤは冷静さを取り戻そうとした。
(それにあれが俺の物だとは思わないだろう。となれば、まだ小日向さんと結ばれるチャンスはある。いや、結ばれるさ!)
その時、彼のスマートフォンが振動した。驚いたタクヤは急いで放送室の前から離れ、近くの階段の踊り場で一息ついた。壁に身を潜め、放送室と廊下を確認する。誰もいない。
胸を撫で下ろしてスマートフォンの画面を見る。友人から新着メッセージが届いており、アプリを起動して内容を確認する。
<3階のトイレに変態がいるからすぐに来てくれ!>
(そんなことしている余裕はねぇ!)タクヤは携帯電話をポケットに戻した。
再びポケットに振動が訪れ、彼は苛立ちながらスマートフォンを確認する。メッセージは友人たちで共有するグループチャットだったので、他の友人たちがイタズラ半分で返事していた。
(そうだ!谷口に助けを求めよう!)
タクヤは急いで登録している谷口のアカウントを選択してメッセージを送った。
<大至急学校に来てくれ!>
もう一度、放送室を確認しようと顔を壁から出した。すると、二人の女子生徒が出てきて、タクヤのいる方に歩いてきた。
(小日向さんはいない…)
そう思った時、近づいてくる女子生徒たちの会話が聞こえてきた。
「信じられないよね。学校であんなの見るなんて…」
「ウチの部員の仕業かな?」
「かもね。」
「それともさっき来た男かな?」
「ありえるね。多分、谷口くんと見てたんじゃない?」
「サイテー!」
(バレてる!つうか、見てたんじゃねぇの?ってくらい合ってる。)
二人との距離が近づいてきたので、タクヤは急いで階段を駆け上がって身を隠した。彼の悪口を言いながら二人の女子生徒は階段を下って行き、それを確認するとタクヤは再び放送室の様子を確認するために移動した。
(もしかしたら、小日向さんも俺のことを誤解している可能性がある。このままでは、アカンッ!)
再び壁に身を隠して放送室を確認した時、部長と思われる背の小さい女性と小日向が出てきた。部長の手にはCDケースがある。
(もしやッ!俺のユイ…いやDVDを職員室に持って行くつもりなのかッ?)
二人はタクヤが隠れている階段ではなく、数メートル先にある反対側の階段へ向かって歩き出した。
(向こうの階段を使えば、職員室への近道になる。あれを失うッ!そして、小日向さんは俺を『変態野郎』だと誤解してしまうッ!)
DVDを取り返したい気持ちはあったが、好きな女性の前でそのような情けない姿を見せることはできない。タクヤは小日向の後姿を見つめながら下唇を噛んだ。
(も、もうお終いだぁ…俺の高校生活はこんなことで終わってしまうのか…)
右手に持っていたスマートフォンが再び振動し、タクヤは驚いて飛び上がりそうになった。何事かと彼がスマートフォンの画面を覗き込んだ。
<変態にヤられそうなんだ!すぐ来てくれよ!>
再び3階のトイレで変態と遭遇した友人からメッセージが届いた。
(そんな暇なんて―)
その時、名案がタクヤの頭に浮かんだ。
(神は俺の味方のようだ…)
To be continued...?
Episode 4 [英雄たちの戦い]
Episode 4
カケルは悩んでいた。
高校に入学してすぐ、ぼったくりバーに誘導される酔っぱらったサラリーマンのように柔道部の部室へ連れて行かれ、半強制的に入部届を書かされた。ミュージシャン志望の彼は何度も退部を考えたが、屈強な先輩たちを目の前にすると何も言えなくなった。
(ボクの夢はミュージシャンであって、柔道家じゃない。今日こそ、退部するんだ!)
カケルは便座から立ち上がり、汚物を流そうとレバーに触れた。
「マジで?」トイレのドアが開き、女性の声が聞こえてきた。
「マジだって!愛理のカレシは野球部の近藤なんだって!」もう一人の女性が言った。
「近藤って大仏顔じゃん!」
(何故、女子が男子トイレに?)カケルは困惑した。
「愛理がブス専とは知らなかったよね。」別の女性の声が聞こえてきた。
(もしかして、ボク、女子トイレにいる?)
部活について思い詰めていたカケルは間違えて女子トイレに入っていた。そして、ようやく、彼はそれに気づいた。
(マズイよぉ~どうしよう…)
トイレにいる3人の女子生徒たちは鏡の前で化粧直しを始め、すぐに出て行く気配はなかった。耳を澄ませて話しを聞いていると、女子生徒たちはこれから他校の男子生徒と遊びに行くらしい。そのため、いつもより気合いを入れて化粧をするとも言っていた。
(見つかったら終わりだよぉ~)
その時、スマートフォンの着信音がトイレ内に響いた。ドアの隙間から外の様子を伺うカケルはそれが女子生徒のものだと思っていたが、実際は彼の携帯電話の着信音であった。彼は急いでスマートフォンを取り出し、着信を拒否しようとした。だが、間違えて電話に出てしまった。
「カケルッ!てめぇ、何所にいるんだよォ!」
カケルは悩んでいた。
高校に入学してすぐ、ぼったくりバーに誘導される酔っぱらったサラリーマンのように柔道部の部室へ連れて行かれ、半強制的に入部届を書かされた。ミュージシャン志望の彼は何度も退部を考えたが、屈強な先輩たちを目の前にすると何も言えなくなった。
(ボクの夢はミュージシャンであって、柔道家じゃない。今日こそ、退部するんだ!)
カケルは便座から立ち上がり、汚物を流そうとレバーに触れた。
「マジで?」トイレのドアが開き、女性の声が聞こえてきた。
「マジだって!愛理のカレシは野球部の近藤なんだって!」もう一人の女性が言った。
「近藤って大仏顔じゃん!」
(何故、女子が男子トイレに?)カケルは困惑した。
「愛理がブス専とは知らなかったよね。」別の女性の声が聞こえてきた。
(もしかして、ボク、女子トイレにいる?)
部活について思い詰めていたカケルは間違えて女子トイレに入っていた。そして、ようやく、彼はそれに気づいた。
(マズイよぉ~どうしよう…)
トイレにいる3人の女子生徒たちは鏡の前で化粧直しを始め、すぐに出て行く気配はなかった。耳を澄ませて話しを聞いていると、女子生徒たちはこれから他校の男子生徒と遊びに行くらしい。そのため、いつもより気合いを入れて化粧をするとも言っていた。
(見つかったら終わりだよぉ~)
その時、スマートフォンの着信音がトイレ内に響いた。ドアの隙間から外の様子を伺うカケルはそれが女子生徒のものだと思っていたが、実際は彼の携帯電話の着信音であった。彼は急いでスマートフォンを取り出し、着信を拒否しようとした。だが、間違えて電話に出てしまった。
「カケルッ!てめぇ、何所にいるんだよォ!」
To be continued?
SNAFUとかいう物語… [余談]
最近、ブログの更新が多いと思われるでしょう?
暇なんじゃなくて、中途半端で終わらせるのが嫌になってきたので少しずつ未完の物を残さないようにしようとしているのです。はい。決して深刻な病気を患っている訳ではないです。はい。
さて、ハヤオの書いている『S.N.A.F.U.』ですが、「犯人を捕まえて事件解決!一件落着!!」という話しではないです。『返報』もそうでしたが、爽快感のない物語です。ゆえに読んでいる人がいるのが謎です。
第1話は下っ端を捕まえただけで終了。
第2話では犯人の動機も不明で、某国の情報局員がとばっちりを受ける。
第3話においては、主人公がJCTCなのか北○鮮の工作員なのか分からない。
第4話も少数民族のテロの話しなのに…的な。
第5話は第2話の続きだけどー
思ったら、まだ3話までしか公開してなかったですね。
ハヤオ曰く、「たった1話で巨大な組織と戦うのは無理。紅蓮(注:第1話を参照)も大きい敵だし、コイツらとは後で戦う。2話の話しも5、9、10で分かってくる。3と4は完璧に独立した物語で、これらに関連した組織と戦うのはJCTCの仕事ではない。あくまでも、SNAFUはJCTCの物語であって、関係のない部分は多いけど、次に繋がる橋の1つなのよ」だそうです。
たまにオネェ言葉を使いますが、ハヤオはストレートです。
『S.N.A.F.U.』の第4話は6月20日に公開ですので、その日はブログを覗かないようにお願いします。(ちなみに裏ブログでは6月6日公開だそうです。)
それじゃ!
暇なんじゃなくて、中途半端で終わらせるのが嫌になってきたので少しずつ未完の物を残さないようにしようとしているのです。はい。決して深刻な病気を患っている訳ではないです。はい。
さて、ハヤオの書いている『S.N.A.F.U.』ですが、「犯人を捕まえて事件解決!一件落着!!」という話しではないです。『返報』もそうでしたが、爽快感のない物語です。ゆえに読んでいる人がいるのが謎です。
第1話は下っ端を捕まえただけで終了。
第2話では犯人の動機も不明で、某国の情報局員がとばっちりを受ける。
第3話においては、主人公がJCTCなのか北○鮮の工作員なのか分からない。
第4話も少数民族のテロの話しなのに…的な。
第5話は第2話の続きだけどー
思ったら、まだ3話までしか公開してなかったですね。
ハヤオ曰く、「たった1話で巨大な組織と戦うのは無理。紅蓮(注:第1話を参照)も大きい敵だし、コイツらとは後で戦う。2話の話しも5、9、10で分かってくる。3と4は完璧に独立した物語で、これらに関連した組織と戦うのはJCTCの仕事ではない。あくまでも、SNAFUはJCTCの物語であって、関係のない部分は多いけど、次に繋がる橋の1つなのよ」だそうです。
たまにオネェ言葉を使いますが、ハヤオはストレートです。
『S.N.A.F.U.』の第4話は6月20日に公開ですので、その日はブログを覗かないようにお願いします。(ちなみに裏ブログでは6月6日公開だそうです。)
それじゃ!