第一回 [銀河極小戦争]
第 一 回
エヌラの双眸が標的を捕えた。
標的は二人。
夜のとばりはエヌラの味方であった。闇はエヌラの姿を隠し、標的から見られることはなかった。彼は慎重に足音を押し殺して標的を追い続けた。
標的が会話を終え、二手に分かれようとしていた。
(今だ…)
エヌラが動こうとした瞬間、標的の前に4人乗りスピーダーが停車した。スピーダーのドアが開き、中からトレンチコートを着た中年男が出てきた。
エヌラは右足にかけていた力を抜き、目の前で起きていることを見守った。
二人の標的はトレンチコートの男を見てそわそわし始めた。エヌラは耳を澄ませて標的たちの会話を聞いた。
「君たち、何しているの?」トレンチコートの男が言った。
「仕事の帰りです。」標的の一人が恐る恐る答えた。
「じゃ、疲れてるでしょ?送ってあげるよ。」
「いえ、もうすぐ家なので…」
エヌラはトレンチコート男の声に聞き覚えがあった。しかし、誰かまでは思い出せない。
「遠慮はいらない。さっさ、乗って、乗って!」男が標的の一人の手を掴んだ。
「やめてください!」
二人の女性が男の手を振り切って走り出した。
(何てことだ。)
女性たちが自分の隠れている方に向かって走ってきた。ここでエヌラはふと名案を思いついた。
(標的がこちらに向かってくるのなら、その機に乗じて仕留めてしまおう。)
足音が近付いてくる。
(もうすぐだ。)
エヌラは襲撃の準備を整えた。
「待ってくれ!」トレンチコートの男が大声を上げて女性たちを追う。
(タイミングが悪い!もしかすると男に姿を見られるかもしれない。では、いつもと違う方法でやるしかない…)
冷静にエヌラは陰の中で体勢を変え、いつでも飛び出せる準備をした。足音がエヌラのすぐ側まで迫る。
(今だッ!)
エヌラが建物の陰から飛び出し、標的たちに背を向け、ズボンを脱いで尻を突きだした。
この時、エヌラは形容し難い快感を得ていた。そして、彼はこの次に上がる甲高い悲鳴がその快感を高めると知っていた。だが、エヌラの期待していた悲鳴は上がらなかった。不思議に思って振り返る。
誰もいない。
呆然としたまま、エヌラは日の出までそこに立ち尽くしていた。
(あの三人はどこへ?)
三人はエヌラの隠れていた陰の一本前の道を曲がっていた。二人の女性はパトロール中の警察官に保護され、トレンチコート男は逮捕された。
余談ながら、この男はエヌラがコンビニでアルバイトをしていた時の先輩であった。
エヌラは静かにズボンを上げて自宅へ戻った。
彼の家は大型商業施設『癒着』の地下駐車場にある。そこは家というよりも箱と言った方が正しい。駐車場の端に置かれた段ボール製の家に入ると、同棲相手の『アーマ・ナマズ』が彼を出迎えてくれた。
「どうだった?」ナマズがお湯をマグカップに入れてエヌラに手渡した。
「いつもと変わらないよ…」コタツに潜り込んでエヌラがお湯を啜った。
ナマズの問いは、エヌラが夜に行った露出行為では無く、アルバイトの話しであった。
今のエヌラにとってナマズの質問はどうでもよかった。何よりも失敗したことが悔しかった。それに彼は四日前にアルバイトをクビになっていた。理由は女性従業員に対するセクハラ発言であった。
エヌラの返事を聞いた全身黒タイツ姿のナマズは、部屋の隅に戻って内職の続きを始めた。彼は今、ボールペンの芯詰めを行っている。
二人が住む、いや、身を潜めている段ボール小屋は縦二メートル、幅が五メートルで、外壁を灰色に塗っていた。遠くから見れば段ボール小屋は駐車場の壁と一体になって見える。
(新しい職を探さないと、ナマズにばかり負担を強いることになる。)
エヌラは毎日五秒間、新しい職について真剣に考えるが、すぐ女性のことを考える。だが、今日は違った。彼は真面目に転職サイトで職を探した。
(接客業は俺向きじゃないから却下だ。できれば女性スタッフが多い場所がいい。だから、建設関係も無理だ。しかし、そうなるとやはり接客業かもしれない。例えばレストラン。あそこなら、制服姿の女の子を毎日拝める可能性が高くなる。そうなれば、女性にスカートを強制している店に応募すれば天国だ。)
生足。
エヌラにとって女性の足は神よりも神聖なものであった。ここでエヌラはレストラン、またはスカート着用を義務付けている店を探すことにした。
そして、エヌラは二つの店を見つけた。彼はその店に行ったことがあり、店員がスカート着用を強制されていることを知っていた。
(ここいしかない。履歴書を送ろう。)
エヌラが履歴書を送信しようとした時、彼の目がアルバイト応募資格のページで止まった。そこには「男子禁制」と書かれていた。
(クソ!なんてことだ。違うところを探すしかない。)
エヌラは転職サイトのトップページに戻り、検索のボックスに「短期アルバイト、高給」と入力した。すると、先程まで無かった募集が掲載されていた。
『強くて逞しい男性を求む! 一緒に美女を守ろう!』
とりあえずエヌラはこのフレーズに惹かれ、その会社へ履歴書を送信した。
データがその会社に届いた時、彼の住む星に小型ポッドが墜落した。
エヌラの双眸が標的を捕えた。
標的は二人。
夜のとばりはエヌラの味方であった。闇はエヌラの姿を隠し、標的から見られることはなかった。彼は慎重に足音を押し殺して標的を追い続けた。
標的が会話を終え、二手に分かれようとしていた。
(今だ…)
エヌラが動こうとした瞬間、標的の前に4人乗りスピーダーが停車した。スピーダーのドアが開き、中からトレンチコートを着た中年男が出てきた。
エヌラは右足にかけていた力を抜き、目の前で起きていることを見守った。
二人の標的はトレンチコートの男を見てそわそわし始めた。エヌラは耳を澄ませて標的たちの会話を聞いた。
「君たち、何しているの?」トレンチコートの男が言った。
「仕事の帰りです。」標的の一人が恐る恐る答えた。
「じゃ、疲れてるでしょ?送ってあげるよ。」
「いえ、もうすぐ家なので…」
エヌラはトレンチコート男の声に聞き覚えがあった。しかし、誰かまでは思い出せない。
「遠慮はいらない。さっさ、乗って、乗って!」男が標的の一人の手を掴んだ。
「やめてください!」
二人の女性が男の手を振り切って走り出した。
(何てことだ。)
女性たちが自分の隠れている方に向かって走ってきた。ここでエヌラはふと名案を思いついた。
(標的がこちらに向かってくるのなら、その機に乗じて仕留めてしまおう。)
足音が近付いてくる。
(もうすぐだ。)
エヌラは襲撃の準備を整えた。
「待ってくれ!」トレンチコートの男が大声を上げて女性たちを追う。
(タイミングが悪い!もしかすると男に姿を見られるかもしれない。では、いつもと違う方法でやるしかない…)
冷静にエヌラは陰の中で体勢を変え、いつでも飛び出せる準備をした。足音がエヌラのすぐ側まで迫る。
(今だッ!)
エヌラが建物の陰から飛び出し、標的たちに背を向け、ズボンを脱いで尻を突きだした。
この時、エヌラは形容し難い快感を得ていた。そして、彼はこの次に上がる甲高い悲鳴がその快感を高めると知っていた。だが、エヌラの期待していた悲鳴は上がらなかった。不思議に思って振り返る。
誰もいない。
呆然としたまま、エヌラは日の出までそこに立ち尽くしていた。
(あの三人はどこへ?)
三人はエヌラの隠れていた陰の一本前の道を曲がっていた。二人の女性はパトロール中の警察官に保護され、トレンチコート男は逮捕された。
余談ながら、この男はエヌラがコンビニでアルバイトをしていた時の先輩であった。
エヌラは静かにズボンを上げて自宅へ戻った。
彼の家は大型商業施設『癒着』の地下駐車場にある。そこは家というよりも箱と言った方が正しい。駐車場の端に置かれた段ボール製の家に入ると、同棲相手の『アーマ・ナマズ』が彼を出迎えてくれた。
「どうだった?」ナマズがお湯をマグカップに入れてエヌラに手渡した。
「いつもと変わらないよ…」コタツに潜り込んでエヌラがお湯を啜った。
ナマズの問いは、エヌラが夜に行った露出行為では無く、アルバイトの話しであった。
今のエヌラにとってナマズの質問はどうでもよかった。何よりも失敗したことが悔しかった。それに彼は四日前にアルバイトをクビになっていた。理由は女性従業員に対するセクハラ発言であった。
エヌラの返事を聞いた全身黒タイツ姿のナマズは、部屋の隅に戻って内職の続きを始めた。彼は今、ボールペンの芯詰めを行っている。
二人が住む、いや、身を潜めている段ボール小屋は縦二メートル、幅が五メートルで、外壁を灰色に塗っていた。遠くから見れば段ボール小屋は駐車場の壁と一体になって見える。
(新しい職を探さないと、ナマズにばかり負担を強いることになる。)
エヌラは毎日五秒間、新しい職について真剣に考えるが、すぐ女性のことを考える。だが、今日は違った。彼は真面目に転職サイトで職を探した。
(接客業は俺向きじゃないから却下だ。できれば女性スタッフが多い場所がいい。だから、建設関係も無理だ。しかし、そうなるとやはり接客業かもしれない。例えばレストラン。あそこなら、制服姿の女の子を毎日拝める可能性が高くなる。そうなれば、女性にスカートを強制している店に応募すれば天国だ。)
生足。
エヌラにとって女性の足は神よりも神聖なものであった。ここでエヌラはレストラン、またはスカート着用を義務付けている店を探すことにした。
そして、エヌラは二つの店を見つけた。彼はその店に行ったことがあり、店員がスカート着用を強制されていることを知っていた。
(ここいしかない。履歴書を送ろう。)
エヌラが履歴書を送信しようとした時、彼の目がアルバイト応募資格のページで止まった。そこには「男子禁制」と書かれていた。
(クソ!なんてことだ。違うところを探すしかない。)
エヌラは転職サイトのトップページに戻り、検索のボックスに「短期アルバイト、高給」と入力した。すると、先程まで無かった募集が掲載されていた。
『強くて逞しい男性を求む! 一緒に美女を守ろう!』
とりあえずエヌラはこのフレーズに惹かれ、その会社へ履歴書を送信した。
データがその会社に届いた時、彼の住む星に小型ポッドが墜落した。
『Fantastic フォー!』 [News]
遂にWNの新アルバムの『Fantastic フォー!』の収録曲が公開されました。
『Fantastic フォー!』
1. Fantastic フォー 〜Interlude〜
2. ア・リ・バ・イ
3. 等身大のロボットを見る
4. 東京タワー
5. アイスクリームを食べ過ぎた
6. 愛しい君
7. 滑ったけど、滑らない話し
8. 「夕ご飯は君」
9. 「そして、宿代も…」
10. Fantastic フォー!
今回のアルバムもストーリー仕立てになっているようです。
おそらくNの実体験が元になっていると思うので、涙なしでは聞けないアルバムだと思っています。常に進化し、プロ根性を見せるWNの活躍に期待して損はないでしょう!
まだ発売日は未定ですが、来月の終わりに出るようなツイートがあるので続報がありましたら、ブログを更新しようと思いますね。
それじゃ!
(ハヤオ関連ですので、以下は読まなくて結構ですよ…)
『S.N.A.F.U.』ですが、ある一定のアクセスがあったので「継続」の方向で動いております。
おそらく間違えてこのブログに来た人が大半だと思うのですが、数字の上では「そこそこ」だった(怒)!ゆえにこの神聖なブログが再びあの野郎の物語で汚されることになりそうです。
できる限り、ハヤオ関連の記事は読まない方がいいです。 WNの汚点になりますので…
まぁ、ハヤオは第6話に着手していますが、出来上がりがいつになるかは不明です。期待せず、私と一緒に批判的な言葉を浴びせて、モチベーションを下げてやりましょう!
『Fantastic フォー!』
1. Fantastic フォー 〜Interlude〜
2. ア・リ・バ・イ
3. 等身大のロボットを見る
4. 東京タワー
5. アイスクリームを食べ過ぎた
6. 愛しい君
7. 滑ったけど、滑らない話し
8. 「夕ご飯は君」
9. 「そして、宿代も…」
10. Fantastic フォー!
今回のアルバムもストーリー仕立てになっているようです。
おそらくNの実体験が元になっていると思うので、涙なしでは聞けないアルバムだと思っています。常に進化し、プロ根性を見せるWNの活躍に期待して損はないでしょう!
まだ発売日は未定ですが、来月の終わりに出るようなツイートがあるので続報がありましたら、ブログを更新しようと思いますね。
それじゃ!
(ハヤオ関連ですので、以下は読まなくて結構ですよ…)
『S.N.A.F.U.』ですが、ある一定のアクセスがあったので「継続」の方向で動いております。
おそらく間違えてこのブログに来た人が大半だと思うのですが、数字の上では「そこそこ」だった(怒)!ゆえにこの神聖なブログが再びあの野郎の物語で汚されることになりそうです。
できる限り、ハヤオ関連の記事は読まない方がいいです。 WNの汚点になりますので…
まぁ、ハヤオは第6話に着手していますが、出来上がりがいつになるかは不明です。期待せず、私と一緒に批判的な言葉を浴びせて、モチベーションを下げてやりましょう!