第十三回 [銀河極小戦争]
第 十 三 回
長い眠りから覚めたように体が重く感じられた。
起き上がると、胸から血を流している男と後部座席で震えている女が見えた。
視界が少し霞んでおり、目の焦点を合わせることが難しかった。それでも〈彼〉は近づいてくる男たちが武装していることに気付いた。
(ドスタムの手下か…?)
黒いマスク姿の四人がスピーダーに近づき、二人が運転席と助手席のドアに移動した。
「設計図を探せ。」運転席側にいた男が言った。男はドアを開けて胸から血を流しているナマズの様子を窺った。
助手席側にいた男も同様にドアを開け、助手席に座っている男を見た。
<彼>は薄目を開けて左右のドアを開けた男二人と、彼らを見守るようにして車の斜め前に立つ男二人の動きを見ていた。そして、助手席のドアを開けた男の左手が〈彼〉の上着のポケットに伸びた瞬間、〈彼〉は素早く左肘を上げて男の手にあった銃を逸らし、右手で男の首筋を掴んで手前に引いた。それと同時に〈彼〉は左手で男の腰に取り付けられていた光線式拳銃を取り、運転席側のドアを開けた男の首を撃ち抜いた。
一方、車の前にいた男二人が短機関銃を構えようとした時、〈彼〉は掴まえていた男の後頭部に光線弾を叩き込んだ。そして、目にも止まらぬ速さで短機関銃を構え終えた男二人の頭部を撃ち抜いた。
(非文明的な武器だ…)〈彼〉は後頭部を撃ち抜いた男を外に放り投げ、死体の上に光線式拳銃を投げた。
「おい!」〈彼〉が後部座席にいたミアツに声をかけた。「お前ら、誰だ?」
恐怖に震えていたミアツはすぐ答えられなかった。
「お前は…エヌラか?<ガンスリンガー>か?」血を吐きながらナマズが〈彼〉に尋ねた。
「<ガンスリンガー>はもういない。ローランドは死んだ…」
「エヌラは眠ったか…」ナマズが呟いた。「何者かが、後ろにいる女を殺そうとしている。」
「俺には関係のない話しだ。」〈彼〉が車から降りた。
「お前がそう思っていても、連中はお前もその女の仲間だと思っている。だから、立ち去っても無駄だ。」ナマズの口角が少し上がった。
<彼>は運転席に座るナマズを睨みつけた。しかし、ナマズは怯まずに後部座席に目を向けた。
「女がお前の銃を持っている。持って行け…」
<彼>は助手席から後部座席で震えていたミアツを覗き込み、彼女の持っていた革袋を確認すると、身を乗り出してそれを取り上げた。その重さを右手に感じて〈彼〉は妙な懐かしさを覚えた。
「早く行け。追手が来るぞ…」ナマズが再び口から血を吹き出した。
<彼>はその姿を見て鼻で笑い、地上へと続く道を歩き始めた。
ミアツはその後ろ姿を見続けた。
「何をしてるの!早くアイツの後を追わんかいな!」全身赤タイツ姿の男がミアツを怒鳴りつけた。「追手が来るぞい!」
「あなたはどうするの?」とミアツ。
「もう分かるじゃろ?ワシはもうここまでじゃ…。アンタだけでも逃げなさいな…」
「あ、ありがとう…」ミアツは急いで車から降りて〈彼〉の後を追った。しかし、彼女は何度もナマズの方を振り返り、その度に全身赤タイツの男は笑顔を浮かべてミアツを安心させようとした。
そして、彼女の姿が見えなくなった頃、アニプラがナマズの前に現れた。
「他の二人は何所だ?」犬人間が回転弾倉式散弾銃を、運転席で死にかけているナマズの胸に押しつけた。
「知らねぇずら…」ナマズが薄ら笑いを浮かべて言った。
苛立ったアニプラは引き金を絞った。
長い眠りから覚めたように体が重く感じられた。
起き上がると、胸から血を流している男と後部座席で震えている女が見えた。
視界が少し霞んでおり、目の焦点を合わせることが難しかった。それでも〈彼〉は近づいてくる男たちが武装していることに気付いた。
(ドスタムの手下か…?)
黒いマスク姿の四人がスピーダーに近づき、二人が運転席と助手席のドアに移動した。
「設計図を探せ。」運転席側にいた男が言った。男はドアを開けて胸から血を流しているナマズの様子を窺った。
助手席側にいた男も同様にドアを開け、助手席に座っている男を見た。
<彼>は薄目を開けて左右のドアを開けた男二人と、彼らを見守るようにして車の斜め前に立つ男二人の動きを見ていた。そして、助手席のドアを開けた男の左手が〈彼〉の上着のポケットに伸びた瞬間、〈彼〉は素早く左肘を上げて男の手にあった銃を逸らし、右手で男の首筋を掴んで手前に引いた。それと同時に〈彼〉は左手で男の腰に取り付けられていた光線式拳銃を取り、運転席側のドアを開けた男の首を撃ち抜いた。
一方、車の前にいた男二人が短機関銃を構えようとした時、〈彼〉は掴まえていた男の後頭部に光線弾を叩き込んだ。そして、目にも止まらぬ速さで短機関銃を構え終えた男二人の頭部を撃ち抜いた。
(非文明的な武器だ…)〈彼〉は後頭部を撃ち抜いた男を外に放り投げ、死体の上に光線式拳銃を投げた。
「おい!」〈彼〉が後部座席にいたミアツに声をかけた。「お前ら、誰だ?」
恐怖に震えていたミアツはすぐ答えられなかった。
「お前は…エヌラか?<ガンスリンガー>か?」血を吐きながらナマズが〈彼〉に尋ねた。
「<ガンスリンガー>はもういない。ローランドは死んだ…」
「エヌラは眠ったか…」ナマズが呟いた。「何者かが、後ろにいる女を殺そうとしている。」
「俺には関係のない話しだ。」〈彼〉が車から降りた。
「お前がそう思っていても、連中はお前もその女の仲間だと思っている。だから、立ち去っても無駄だ。」ナマズの口角が少し上がった。
<彼>は運転席に座るナマズを睨みつけた。しかし、ナマズは怯まずに後部座席に目を向けた。
「女がお前の銃を持っている。持って行け…」
<彼>は助手席から後部座席で震えていたミアツを覗き込み、彼女の持っていた革袋を確認すると、身を乗り出してそれを取り上げた。その重さを右手に感じて〈彼〉は妙な懐かしさを覚えた。
「早く行け。追手が来るぞ…」ナマズが再び口から血を吹き出した。
<彼>はその姿を見て鼻で笑い、地上へと続く道を歩き始めた。
ミアツはその後ろ姿を見続けた。
「何をしてるの!早くアイツの後を追わんかいな!」全身赤タイツ姿の男がミアツを怒鳴りつけた。「追手が来るぞい!」
「あなたはどうするの?」とミアツ。
「もう分かるじゃろ?ワシはもうここまでじゃ…。アンタだけでも逃げなさいな…」
「あ、ありがとう…」ミアツは急いで車から降りて〈彼〉の後を追った。しかし、彼女は何度もナマズの方を振り返り、その度に全身赤タイツの男は笑顔を浮かべてミアツを安心させようとした。
そして、彼女の姿が見えなくなった頃、アニプラがナマズの前に現れた。
「他の二人は何所だ?」犬人間が回転弾倉式散弾銃を、運転席で死にかけているナマズの胸に押しつけた。
「知らねぇずら…」ナマズが薄ら笑いを浮かべて言った。
苛立ったアニプラは引き金を絞った。
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