第二回 [銀河極小戦争]
第 二 回
その小型ポットは卵型で、成人男性がやっと一人入れる程の大きさであった。
このポッドは海に落ち、誰もが流れ星か宇宙ゴミだと思って引き揚げようとはしなかった。代わりに人々が注目したのは、ここから数十キロ先の空港に着陸した宇宙船であり、この船には盗賊団が乗っていた。
盗賊団の名前は『スペース・ア・ゴー・ゴー(SAGG)』。
彼らは一般市民のみならず、報道機関にも注目されている。その理由は、この盗賊団が様々な星で奴隷を解放しているからである。奴隷たちや奴隷制に反対する勢力はSAGGを応援していた。
宇宙一有名な盗賊団の長は、『カズヤン・ロドリド・テカテリー・サバンナ・ランダスベルデブ』という丸々と太った豚の様な男であった。しかし、報道機関とSAGGによる宣伝によって、彼は英雄であり、またイケメンとなっていた。
この男の経歴は謎に包まれている。誰もカズヤンの秘密を知る者はいない。正確には、知っている者は皆殺された。
数時間前、カズヤンがある施設への攻撃を命じた。その施設には手に入れれば全銀河を支配できると言われている〈マグナム〉の設計図があった。しかし、その設計図を持った者が施設から宇宙ポッドに乗って逃亡した。カズヤンはそのポッドを追っている。
施設から放たれた宇宙ポッドは五機。
SAGGは設計図を持った者を探し出すために、SAGG最強の探し屋『アニプラ』を派遣した。
アニプラは土星で生まれた犬人間であり、嗅覚が優れている。かつて奴隷の身分であったアニプラは、SAGGの宣伝用に奴隷から解放され、幹部にまで指名された。一般大衆はこのようなシンデラストーリーに弱く、SAGGの評判はこの頃から良くなった。
今、アニプラは巨大モニターに映し出されているカズヤの前で跪いていた。
「設計図は手に入れたのか?」
カズヤンがチョコレートを貪りながら言い、かじる度にチョコの破片が彼の汗ばんだ腹の上に落ちた。
「ポッドは回収できましたが、中身は空でした。」
「何?」
盗賊団長の口が開くと同時に、カメラにチョコレートの破片が付着した。
「カズヤン様、安心してください。この星に落ちたポッドが最後です。それに部下の報告を聞いた限り、他のポッドの中は無人で、一応捜索はしましたが、設計図はありませんでした。ゆえに奴はここにいると思われます。」
「そうか…。では、頑張れ。私はこれからキャバクラに行く。終わったら、報告しろ。」
「了解しました。」
モニターからカズヤンが消え、現在いる星の基本データや町に出て調査を行っている部下たちの情報が表示された。
(あの豚は見るだけで反吐が出そうになる。今はアイツより、設計図を持ちだしたクソ野郎を捕まえるのが先決か…。早くメス犬たちと戯れたいもんだ。)
その小型ポットは卵型で、成人男性がやっと一人入れる程の大きさであった。
このポッドは海に落ち、誰もが流れ星か宇宙ゴミだと思って引き揚げようとはしなかった。代わりに人々が注目したのは、ここから数十キロ先の空港に着陸した宇宙船であり、この船には盗賊団が乗っていた。
盗賊団の名前は『スペース・ア・ゴー・ゴー(SAGG)』。
彼らは一般市民のみならず、報道機関にも注目されている。その理由は、この盗賊団が様々な星で奴隷を解放しているからである。奴隷たちや奴隷制に反対する勢力はSAGGを応援していた。
宇宙一有名な盗賊団の長は、『カズヤン・ロドリド・テカテリー・サバンナ・ランダスベルデブ』という丸々と太った豚の様な男であった。しかし、報道機関とSAGGによる宣伝によって、彼は英雄であり、またイケメンとなっていた。
この男の経歴は謎に包まれている。誰もカズヤンの秘密を知る者はいない。正確には、知っている者は皆殺された。
数時間前、カズヤンがある施設への攻撃を命じた。その施設には手に入れれば全銀河を支配できると言われている〈マグナム〉の設計図があった。しかし、その設計図を持った者が施設から宇宙ポッドに乗って逃亡した。カズヤンはそのポッドを追っている。
施設から放たれた宇宙ポッドは五機。
SAGGは設計図を持った者を探し出すために、SAGG最強の探し屋『アニプラ』を派遣した。
アニプラは土星で生まれた犬人間であり、嗅覚が優れている。かつて奴隷の身分であったアニプラは、SAGGの宣伝用に奴隷から解放され、幹部にまで指名された。一般大衆はこのようなシンデラストーリーに弱く、SAGGの評判はこの頃から良くなった。
今、アニプラは巨大モニターに映し出されているカズヤの前で跪いていた。
「設計図は手に入れたのか?」
カズヤンがチョコレートを貪りながら言い、かじる度にチョコの破片が彼の汗ばんだ腹の上に落ちた。
「ポッドは回収できましたが、中身は空でした。」
「何?」
盗賊団長の口が開くと同時に、カメラにチョコレートの破片が付着した。
「カズヤン様、安心してください。この星に落ちたポッドが最後です。それに部下の報告を聞いた限り、他のポッドの中は無人で、一応捜索はしましたが、設計図はありませんでした。ゆえに奴はここにいると思われます。」
「そうか…。では、頑張れ。私はこれからキャバクラに行く。終わったら、報告しろ。」
「了解しました。」
モニターからカズヤンが消え、現在いる星の基本データや町に出て調査を行っている部下たちの情報が表示された。
(あの豚は見るだけで反吐が出そうになる。今はアイツより、設計図を持ちだしたクソ野郎を捕まえるのが先決か…。早くメス犬たちと戯れたいもんだ。)
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