第十七回 [銀河極小戦争]
第 十 七 回
宇宙船に戻ったナルホーたちはメモリースティックの解析を急いでいた。
人工知能を用いて帳簿の中に隠された暗号や隠しファイルを探し求めたが、何の成果も挙げられていなかった。
「もう一度解析しろ!」ナルホーが人工知能『モアブ』に命じた。モアブは指示通り、七千五百二十三回目の解析を始めた。
(クソッ!何故、何も出てこない?)
「ナルホー様。」部下の一人が彼の前で立ち止まった。「アニプラ様から通信が入っています。」
ナルホーは焦る気持ちを隠しながら、タブレットでアニプラの通信を受け取った。
「どうされましたか?アニプラ様。」
「解析の結果は出たか?」
「いえ、まだです。予想よりも暗号が複雑でして、解読に時間が掛かっています。」
「そうか…。カズヤン様から連絡はあったか?」
「いいえ、ありません。」
「ならいい。また後で連絡する。」
通信が途絶えた。
(このままではアニプラ様に殺される。メモリースティックがダメなら、あの逃げた二人を―)
衝撃が宇宙船を襲った。
ナルホーがバランスを崩して尻餅を付き、彼の部下もバランスを崩して転んだり、慌てて壁や柱に掴まったりする者がいた。
「何事ですか!」ナルホーが近くにいた部下に尋ねた。
「む、無人機が…大量の無人機が―」
報告していた部下の前にあったガラスを突き破り、大きさ五十センチの無人偵察機が彼の胸に突き刺さった。
ナルホーは伏せ、タブレットで宇宙船のレーダーを確認した。画面を埋め尽くすように無数の青い点が表示されている。
(襲撃ッ?)
***
「始まったよ。」
ナルホーたちの乗る宇宙船から二十五キロ離れた場所にいたエヌラがミアツから連絡を受け取った。
「出入り口に武装した警備が二人、中に二十人はいるよ。本当にやるの?」ミアツの心配そうな声が、右耳に差し込んだイヤフォンから聞こえてきた。
「ここまで来たら退けねぇてばさ。」そう言うとエヌラはイヤフォンを外し、地面に落とした。
耳を突き刺すような雑音が聞こえ、不快に感じたミアツがヘッドフォンを外した。
(死なないでよ…)
一方のエヌラは深呼吸して、道路を挟んだ向かい側にある犬人間種が経営しているクラブを見た。煌々と光るピンク色の看板の光を浴びている彼は、まだ引き返す余裕があると思っていた。だが、ナマズのことを思うとスペース・ア・ゴー・ゴーへの怒りが強くなった。
「力を貸してくれ…」エヌラが呟いた。
(ゴドー村の時より少ない人数じゃないか。俺の助けはいらないと思うぞ。)
「あの時からもう四年経ってる。腕も鈍ってる…」
(そうなると、〝乗っ取る〟ことになるぞ。)
「時間がないんだ。早く済ませよう。」
(分かった。)
その声が聞こえたと同時にエヌラの意識が飛んだ。
宇宙船に戻ったナルホーたちはメモリースティックの解析を急いでいた。
人工知能を用いて帳簿の中に隠された暗号や隠しファイルを探し求めたが、何の成果も挙げられていなかった。
「もう一度解析しろ!」ナルホーが人工知能『モアブ』に命じた。モアブは指示通り、七千五百二十三回目の解析を始めた。
(クソッ!何故、何も出てこない?)
「ナルホー様。」部下の一人が彼の前で立ち止まった。「アニプラ様から通信が入っています。」
ナルホーは焦る気持ちを隠しながら、タブレットでアニプラの通信を受け取った。
「どうされましたか?アニプラ様。」
「解析の結果は出たか?」
「いえ、まだです。予想よりも暗号が複雑でして、解読に時間が掛かっています。」
「そうか…。カズヤン様から連絡はあったか?」
「いいえ、ありません。」
「ならいい。また後で連絡する。」
通信が途絶えた。
(このままではアニプラ様に殺される。メモリースティックがダメなら、あの逃げた二人を―)
衝撃が宇宙船を襲った。
ナルホーがバランスを崩して尻餅を付き、彼の部下もバランスを崩して転んだり、慌てて壁や柱に掴まったりする者がいた。
「何事ですか!」ナルホーが近くにいた部下に尋ねた。
「む、無人機が…大量の無人機が―」
報告していた部下の前にあったガラスを突き破り、大きさ五十センチの無人偵察機が彼の胸に突き刺さった。
ナルホーは伏せ、タブレットで宇宙船のレーダーを確認した。画面を埋め尽くすように無数の青い点が表示されている。
(襲撃ッ?)
***
「始まったよ。」
ナルホーたちの乗る宇宙船から二十五キロ離れた場所にいたエヌラがミアツから連絡を受け取った。
「出入り口に武装した警備が二人、中に二十人はいるよ。本当にやるの?」ミアツの心配そうな声が、右耳に差し込んだイヤフォンから聞こえてきた。
「ここまで来たら退けねぇてばさ。」そう言うとエヌラはイヤフォンを外し、地面に落とした。
耳を突き刺すような雑音が聞こえ、不快に感じたミアツがヘッドフォンを外した。
(死なないでよ…)
一方のエヌラは深呼吸して、道路を挟んだ向かい側にある犬人間種が経営しているクラブを見た。煌々と光るピンク色の看板の光を浴びている彼は、まだ引き返す余裕があると思っていた。だが、ナマズのことを思うとスペース・ア・ゴー・ゴーへの怒りが強くなった。
「力を貸してくれ…」エヌラが呟いた。
(ゴドー村の時より少ない人数じゃないか。俺の助けはいらないと思うぞ。)
「あの時からもう四年経ってる。腕も鈍ってる…」
(そうなると、〝乗っ取る〟ことになるぞ。)
「時間がないんだ。早く済ませよう。」
(分かった。)
その声が聞こえたと同時にエヌラの意識が飛んだ。
コメント 0