Episode 3 [英雄たちの戦い]

Episode 3


 ユウタはトイレットペーパーの芯を3分ほど見つめた。つまり、彼が現実を直視するまで、大半のカップ麺が出来上がる時間を要する必要があったのだ。

 (何故?何故?紙がないの?)

 便器の周りを見て予備のトイレレットペーパーがないか探し求めた。しかし、求める物はなかった。

(そうだ!後輩に連絡してトイレットペーパーを―)

身を屈めて制服のスラックスに手を伸ばし、その際に彼の意思に反して腹痛の要因となっていた物がガスと共に再び放出された。ユウタはポケットを探ったが、そこにスマートフォンはなかった。ポケットには学生手帳とバスの定期入れしかない。

 (そうか…演奏の邪魔にならないようにカバンに入れたんだ!バカやっちまったぜッ!)

 仕方なくユウタは隣の個室へ行こうと立ち上がろうとしたが、すぐ座り直した。

(待て!このまま歩けば、転ぶかもしれない。それに誰かに見られたら大変だッ!動くなら素早く動くしかなぁいッ!)

 ユウタは覚悟を決めてスラックスと下着を脱ぎ、素早く個室から飛び出した。片手に服を持ち、素早く隣へ移動する簡単なことであった。だが、予期せぬ事態が彼を待ち受けていた。個室から出ると、小便器で用を足している生徒がいた。ユウタがあまりにも勢い良く飛び出したため、その男子生徒が振り返った。

 (ノォーーーーーーッ!!)

 急いでユウタは個室へ戻ったが、上手くドアを掴むことができず、仕方なく右手に持っていた服から手を離してドアの施錠部分を掴むと個室へ逃げ込んだ。

 (危なかった…もう少しで露出狂になるところだった。)

 用を足していた男子生徒は下半身を露出した男を目撃して動揺し、固まって動けなくなった。

 (あれ、何?変態?)

  男子生徒の気持ちを知らないユウタは落とした服を取ってもらおうと、ドアの隙間から外の様子を見た。

 「すいませーん?」ユウタが話し掛けた。「そこの服を取ってもらえますか?」

 (これ、ヤバい奴だ。服を取った瞬間にドアを開けて襲いかかってくるつもりだ。さっきも俺を襲おうとしていたに違いない。)男子生徒はユウタのいる個室を見つめ、ある決断を下した。(友だちを呼んで倒すしかねぇ…)

 男子生徒はスマートフォンを取り出し、校内に残っているであろう友人たちに連絡した。

 「す、すいませぇーん?」大きな誤解が生まれていたが、ユウタは勇気を振り絞って声をかけ続けた。「そこの服を取ってもらえまぁーすぅ?」


To be continued...?

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