返報 14-4 [返報]

14-4






  医務室で治療を終えた新村がメインホールに入ると、黒田を囲むようにして並ぶ分析官たちが見えた。部下に囲まれている支局長は大きなスクリーンの前で声を張って話しており、若い女性捜査官は話しを聞くために分析官たちの群れに近づいた。

  「―と思うが、先程とりかかっていた作業に戻ってくれ!」話し終えると黒田は、自分のオフィスと正反対の方向へ歩き出した。

 事情を知らない職員たちは野村と奥村を殺した犯人がまだ施設内にいると思っており、できることなら早く事件を解決して不安を払拭したかった。ゆえに黒田の指示は職員の不満を増幅させた。

「何があったの?」新村が近くにいた同期の女性分析官に尋ねた。

「野村さんと奥村さんが殺されたのよ。ここの地下駐車場で…」

 女性捜査官は自分の耳を疑うと同時に眩暈を覚えた。本間のアジトで野村に助けてもらった時から彼女は、先輩捜査官に心惹かれていた。

 「犯人は?」新村が落ち着きを取り戻しながら再び尋ねた。
 
 「まだ誰が犯人かも分かってない。それより、アンタ大丈夫なの?」同僚の顔色を見て女性分析官は心配になっていた。

 「ちょっと…ゴメン…」そう言うと新村は黒田の後を追った。支局長なら何か知っていると考えての行動だった。

 一方、水谷の拘束室に入った黒田はドアを閉じ、分析官が操作しているノートパソコンの画面を覗き込んだ。そこには複数のウィンドウが表示さており、水谷は頻りにキーボードを叩いてウィンドウの文字や数字を追加または消去していた。

 「それで、何が見つかった?」と黒田。

 「小野田の他にも内通者がいたようです。」男性分析官が新しいウィンドウを表示させ、その下部にあったツールバーの再生ボタンを押した。

 そのウィンドウに重なるように倒れる野村と奥村が映し出された。駐車場奥の監視カメラ映像を拡大したものだったので画質は落ちていたが、二人を判別することができるほどの物だった。倒れている二人に歩み寄る男がいた。男の姿を見るなり、黒田はそれが小木だと分かった。

 「小木が―」

 その時、映像の中で小木が奥村の頭部に銃弾を撃ち込み、黒田は開けていた口を閉じた。怒りに体が震え、きつく閉じた唇も小刻みに震えだした。次に彼が目にしたのは腰を屈めた小木と映像の右端から現れた小さな影だった。その影が画面の端で動くと、倒れていた野村の体がビクンと痙攣を起こしたように跳ねた。

 「ズームアウトしろ!」

 指示通りに水谷が映像を元の大きさに戻し、野村を撃った男を拡大表示させた。

 「小野田…」黒田が呟いた。

 「小野田は西野さんが参加していた作戦の通信を妨害した上に、監視カメラ映像のデータを改竄していました。主に堀内というテロリストがいた拘束室の映像とこの地下駐車場の映像です。」
パソコンの画面に映る小野田の姿から目を離さず、ゆっくりとネズミ取りの北海道支局長が上体を起こした。「小野田と小木の手配を行う。お前はここで調査を続けてくれ。まだ内通者がいるかもしれない。」

 「分かりました。」

 このやり取りをマジックミラー越しに見ていた新村は言葉を失っていた。また、彼女は自分の中で湧き上がってくる“何か”を感じた。








 手稲の中継基地で証拠隠滅を終えた中田率いる12人のテロリストは、緊張が解けて行く感覚を楽しんでいた。手稲から張碓までの移動で彼らは多くの検問を目にしていたので、待ち伏せ攻撃の可能性を考えて行動し、この用心深さが彼らの心臓に大きな負担を与えた。しかし、周囲を森に囲まれた廃校舎の姿が見えると、テロリストたちの間に走っていた緊張が消え始めた。そして、その時、彼らは爆発音を耳にした。

 車が校舎の前で止まると、中田は我を忘れて校舎の中へ走り、ドアを開ける寸前にベルトに挟めていた拳銃を抜き取った。他の仲間たちもアサルトライフルを抱えて大男の後に続いた。ドアを蹴り開けて室内に入り、中田は素早く廊下の安全確認を行う。人影はない。

 「5人は俺と一緒に右に、他は左に行け!」中田が指示を出し、テロリストたちは素早く行動に出た。








 西野たちは素早く、慎重に前進した。先頭に大多和と荒井、中央に沢木と池田、西野、そして、殿に中島と桑野と言う順であった。彼らはテロリストの態勢が立ち直る前に建物から退避し、増援が来るまで森を利用して戦おうとしていた。計画通りに動いていれば、4分後に増援部隊が到着する予定だった。しかし、黒田が小野田の捜索にその部隊を投入したため、中島たちが期待する増援は正反対の場所へ向かって出発していた。

 1階を目指していた一行であったが、2階に降りると下から駆け上がってくる複数の足音を聞いた。そして、大多和が階段へ足を踏み入れようとした途端、1階と2階の間の踊り場に上がってきた男に出くわした。男の手にはアサルトライフルが握られている。

 両者ともに目が合うと、敵と認識して銃口を向け合った。だが、大多和が引き金を絞ろうとした時、背後にいた荒井が身を乗り出して先に発砲し、男の胸に3発の銃弾を叩き込んだ。

 その間に二人の後ろにいた沢木と池田が壁沿いに歩いて直進し、曲がり角に到達すると先頭の沢木が素早く角から頭を出して進行方向の安全を確認する。そして、人影の有無を確認すると、彼はしゃがんで角から身を乗り出して援護の体勢に入った。素早く沢木の背後にいた池田を先頭にして一行が窓に沿って移動を再開した。

 2階に上がろうとするテロリストと交戦する大多和と荒井は階段の手摺りに身を隠して、敵の前進を阻止している。銃弾が二人の隠れている遮蔽物とその周りに命中し、破片と粉塵が2階に続く階段に拡散した。火力はテロリスト側の方が強く、大多和と荒井は遮蔽物から銃だけ出して撃つことしかできなかった。

 殿の中島が二人の横を通り過ぎる際、手前にいた大多和の右肩を強く二度叩いた。仲間全員が通り過ぎたという合図であった。ネズミ取りの捜査官は撃つのを止め、隣にいた荒井の肩を同じく叩いて中島の後を追った。荒井は弾倉が空になるまで撃ち続け、弾が切れると急いで大多和に続いた。

 振り返ると、片膝をついて銃を構える中島の姿を確認した。東京から来たSAT隊員は荒井の援護をするために待機していたのだ。彼の後ろには逆方向を警戒する沢木がいる。荒井は再装填の前に防弾ベスト左からフラッシュバンを取り、安全ピンを外すとテロリストがいる方へ放り投げた。それは音を立てて階段を下って行き、階段を駆け上がろうとしていた男たちの足元で爆発した。

 一方、池田を先頭に前進を続ける西野たちは前方から出現した6人の武装した男たちを発見し、銃撃を避けるために素早く壁の凹みや教室の中に飛び込んだ。彼らと距離があった沢木、荒井、中島は近くの遮蔽物へ移動するため、姿勢を低くして走り、そして、前方から迫ってくる男たちが発砲するなり三人は応射を開始した。西野たちも遅れている仲間のために弾幕を張り始める。

 敵のアサルトライフルから放たれた銃弾が頭上を掠っても、前進する三人のSAT隊員は遮蔽物に達するまで怯まず、敵に狙いを定めて慎重に引き金を絞り続けた。中島たちの銃撃によって、6人中1人が死亡し、2人が腕と脚に被弾して悲鳴を上げた。テロリスト側の被害は大きかったが、中島たちは目立った外傷を受けていなかった。確かに、いくつかの大口径の銃弾が服や防弾ベストを掠めたが、どれも大事に至る程の被害ではない。

 三人のSAT隊員は素早く先行していた仲間と合流し、壁の凹みに隠れると再装填を終わらせて周囲に目を配った。

 「集合しろ!」廃教室に身を隠していた大多和が叫んだ。彼の声は右耳に差し込まれた小型無線機を通って、西野を除く通信機を共有する仲間たちの耳に届いた。

 メンバーを自分のいる場所へ終結させようと、大多和は共に行動していた池田と一緒に援護射撃を展開し、他のメンバーも敵へ発砲しながら移動した。その時、中島の背中に衝撃が訪れ、思わず転倒しまった。それに気づいた沢木が足を止め、中島の腕を掴んで立ち上がらせた。

 最初は中島が滑って転んだと思った沢木であったが、振り返ると足止めしていたテロリストが走って来るのが見えた。憎悪を顔に浮かべて迫る6人のテロリストに沢木は恐怖し、急いで中島と共に大多和たちのいる教室へ急いだ。

 状況にいち早く気付いた荒井は、中島と沢木が無事合流できるように床に伏せて後方から接近してくる敵に向けて引き金を絞り続けた。すぐに他のメンバーもそれに倣って両方向から迫るテロリストへ発砲し、弾幕の厚さから敵の動きが少し鈍くなった。

 その頃、大多和は急いで窓付近にあった古い暖房のパイプにロープを縛り付け、何度かきつく引っ張って強度を確認すると窓を開けてロープの輪を外へ放り投げた。黒いロープの輪は落下するに従って一つの黒い線となった。次にネズミ取りの捜査官は下の状況を確認し、安全が確保されると後ろで警戒態勢に入っていた池田の肩を叩いた。

 「行くぞッ!」そう言うと、大多和はロープを掴んで窓から身を乗り出し、地面へゆっくりと降下した。








 銃撃戦が展開されている2階に降りると守谷は中田と合流した。額に切り傷を持つ男と彼の部下はわざわざ西野と中島が通った穴を抜け、3階を隈なく捜索してから来たために遅れて到着した。しかし、遅れても守谷は今までの無駄な時間を短縮させるだけの道具を持ってきた。

 「皆殺しにしろッ!!」守谷が手榴弾を西野たちが隠れている教室に向けて投げた。

 手榴弾は教室の前方を警戒していた西野と桑野の付近に落ち、それを確認すると二人は急いで教室内に身を潜めて爆発に備えた。強烈な爆風と破片が周囲に拡散し、通路と教室扉の窓が砕けて廊下がガラス片で満たされた。また、老朽して脆くなっていた壁や天井も破壊され、硝煙で満たされていた通路に埃が宙を舞った。

 守谷の参戦はテロリスト側の士気を高め、アサルトライフルを持つ男たちは一斉に銃撃しながら前進した。大口径の銃弾が一挙に西野たちが隠れる教室に集中し、追い込まれた西野とその救出部隊は床に伏せ、壁を貫通して室内に無数の穴を開ける銃弾の雨を回避した。問題は銃撃だけではなかった。守谷と中田が前進する仲間の後に続き、アサルトライフルの再装填が始めると、すかさず手榴弾を教室に向けて投げた。教室まで9メートルほどの距離があった。

 一方、大多和に続いて池田、沢木がロープを伝って降下して仲間の到着を待っていた。

 「先に行って下さいッ!!」西野と共に行動する桑野が、自分の拳銃用予備弾倉をネズミ取りの捜査官に渡した。

 「ダメだ!俺より君が―」弾がぎっしり込められた弾倉を拳銃に叩き込んで西野が叫んだが、手榴弾が爆発して最後の部分が掻き消されてしまった。

 「私の仕事はあなたを救出することですッ!」再び始まった銃撃に声を消されないよう、桑野が大きな声を上げた。

 「いい雰囲気のところ、申し訳ないですけど…」中島が這って二人のところにやってきた。「ここは私と荒井さんで足止めするんで、逃げてください!」

 「しかしッ!」西野が食い下がる。

 「もう話してる暇なんてないんですよぉ~。早く窓から逃げて下さい。じゃないと、みんな死んじゃいますよぉ!」

 西野は渋々這って窓の方へ急いだ。桑野は残るつもりでMP-5SD短機関銃の再装填を行った。

 「君も行くんだ!」中島が桑野に向かって叫んだ。

 これを聞いて桑野は短機関銃の予備弾倉を東京から来たSAT隊員に渡そうと動いた。しかし、中島はそれを制した。「代わりにフラッシュバンとスモークをくれッ!」

 言われた通りに桑野は二つの異なるグレネードを中島に渡し、急いで西野の後を追った。教室に残るのは中島と荒井の二人となった。二人は接近してくるテロリストの銃撃を耳にしながら、互いに目を合わせた。そして、ほぼ同時に発煙弾[注:スモークグレネード]の安全ピンを抜いて廊下へ放り投げた。

 廊下に落下したグレネードを目撃したテロリストたちは一瞬怯んだが、煙が噴き出てくると恐怖心が薄れて行き、再び前進を始めた。だが、すぐに視界が悪くなり、両方向から接近していたテロリストたちの勢いが止まった。その隙に中島と荒井は仰向けになって両脚で床を押しながら、窓へ移動を始めた。移動しながらも二人は敵のいる方向へ向けて発砲を行った。

 「押し続けろッ!」守谷が檄を飛ばし、煙幕に怯んでいた仲間たちが銃撃を再開した。

 その頃、中島と荒井は窓まで辿り着いており、あとはロープで降下するだけであった。二人とも短機関銃の弾倉が尽き、拳銃で弾幕を張り続けた。

 「お先にどうぞ!」中島が右隣にいる荒井に言った。

 「それでは、失礼しますッ!」そう言うと、荒井は一度拳銃をホルスターに戻した。銃弾が周囲を飛び交う中で立ち上がるのは怖かったが、彼は勇気を振り絞って中腰姿勢を取ってロープを掴んだ。壁に沿うようにして素早く立ち上がると左脚に激痛が走り、あまりの痛さに荒井は床に倒れてしまった。

 「大丈夫か?」拳銃に新しい弾倉を入れて中島が叫んだ。

 「脚を…撃たれました…」

 消え入りそうな声で呟いたため、荒井の声は中島に届かず、東京からSAT隊員は心配して拳銃を発砲しながら荒井に近づいた。

 「生きてるか?」荒井の背中に自分の背を押し当てて中島が尋ねた。

 「な、なんとか…」仲間に聞こえるように荒井はできるだけ大きい声を出した。

 「こんな所から、おさらばするぞ!」中島は発砲しながら、フラッシュバンを廊下へ投げた。これで少しでも時間が稼げると思い、彼は荒井の腕を掴んで立ち上がらせた。

 その時、窓枠に大量の血が降り注ぎ、中島の右腕の激痛が広がった。右腕を見ると、シャツの上腕部が血で赤く染まっている。泣きたくなるほどの痛みであったが、彼はそれを堪えて荒井を逃がそうと左腕だけで脚を負傷したSAT隊員の体を持ち上げようとした。

 一方、守谷と中田が最後の手榴弾をSAT隊員たちが隠れている教室へ投げ、それと同時に中島が投げたフラッシュバンが爆発し、テロリストたちの視覚と聴覚が一時的に麻痺した。守谷たちのグレネードの一つが教室のドア枠に命中し、そのまま室内へ進入した。

 偶然振り返った中島は教室に進入した手榴弾を目撃し、急いで荒井を床に押し付けて彼に覆い被さった。そして、手榴弾が爆発した。








 中島と荒井を待っている西野たちは神経を研ぎ澄ませて周辺警戒を行っていた。周囲に遮蔽物がないため、円陣を組んで周囲に目を配り、少しでも音が聞こえると素早く銃を音源へ向けた。

 小野田という人物を演じている三須を捕まえたい西野は、なかなか降りてこない中島と荒井に腹を立てていた。そのため、しきりに上を見て中島たちの姿を求めた。

 「議員の命が危ないんだ。すぐにでも追わないといけない。」西野が右隣にいる大多和に言った。

 「とは言っても、仲間は置いて行けないだろ。」脅威の有無を確認するため、視線をすばやく動かしながら大多和が応えた。

 「三須が…いや、小野田が議員の命を狙っているんだ!早く止めないと―」

 「小野田が議員を?」大多和が西野を遮った。彼は同僚の気が狂ったと思って動揺したのだ。「何故、アイツが?」

 「奴は議員と俺に復讐しようとしている。理由は後で話す。今は小野田を捕まえることが最優先だ。」

 「なら、一緒に行こう。」西野の説明に納得できなかったが、大多和は彼の必死さに敗けた。「SATのみなさんには申し訳ないが、俺と西野は小田議員のところへ向かう。」

 「援護はいらないんですか?」桑野が尋ねた。

 「できれば…欲しい。」大多和が言葉を詰まらせながら言った。この状況で援護を求めることが、どれだけ非礼な行為か分かっていたからだ。

 「それでは池田と沢木をここに残し、私が行きます。」と桑野が言った。彼は一度仲間に目を配り、二人の隊員は目を合わせると頷いた。「すぐに戻る…」

 「テロリストの車両が正面玄関にある。それを使おう…」大多和が西野を見た。彼は建物に侵入する際、正面玄関に駐車されていた2台の車を目撃していた。

 「そうしよう。」

 そして、西野、大多和、桑野は立ち上がって正面玄関へ向かった。大多和を先頭に素早く前進し、廃校舎の角まで来ると立ち止まり、念のために敵影を探した。テロリスト全員が建物内にいると思っていたが、アサルトライフルを持つ8人が正面玄関で警戒態勢を取っていた。彼らは敵の増援を恐れた守谷が配置した見張りだった。また、テロリストの車両が増えていることに気付いた。

 「簡単に行きそうにないぞ…」見張りを見つけた大多和が背後で待機する西野と桑野に言った。「重武装したテロリストが少なくても8人にいる。」

 姿勢を低くして西野は大多和の陰から正面玄関の様子を窺った。6台の車が正面玄関を塞ぐように、一列に停められている。盾として使うのだろう、と西野は思った。彼らから一番近い車は19メートル先にある。

 「私が時間を稼ぎをします。」桑野がスモークグレネードを手に取った。

 「一人じゃ無理だ。」大多和はここに来たことを後悔していた。「俺と桑野で注意を惹き付ける。西野、お前一人で行け…」拳銃の予備弾倉1つを西野に渡してネズミ取りの捜査官が言った。

 建物の陰に戻った西野が申し訳なそうな目で同僚を見た。「しかし…」

 「時間がないんだろう?俺の気が変わらない内に走る準備をしろ。」大多和がスモークグレネードを防弾ベストから取った。

 「ありがとう…」西野が頭を下げた。

 すると、大多和が口元を緩めた。「準備はいいか?」彼は自分の隣に移動してきた桑野を見た。

 「いつでも。」

 「んじゃ、行くか…」グレネードの安全ピンを外し、大多和はもう一度桑野を見た。SAT隊員が頭を縦に振る。それを確認すると、大多和と桑野はスモークグレネードを正面玄関へ向けて放り投げた。

 大きな弧を描いてグレードが宙を舞い、弧の真ん中あたりで煙を吹き出して地面に落ちた。見張りの8人はスモークグレードが発した煙の放出音を耳にすると、素早く銃を持ち上げて周囲に目を配った。
彼らが西野たちの姿を探す間、黄色の煙が拡散して8人の間に恐怖と混乱が走り、彼らは数歩下がって敵の姿を探し求めた。

 テロリストが受け身になっている隙を狙って西野は、列の最後尾にある乗用車に向かって一目散に走り出した。銃を構えることもなく、両手を大きく振り、両脚を素早く動かして彼は運転席に向かっている。大多和と桑野は建物の陰に体を半分隠して仲間の動きを見守り、テロリストが西野を発見しないことを祈った。

 ネズミ取りの捜査官が運転席側のドアに手をかけた時、テロリストの1人が西野を見つけ、叫び声を上げてアサルトライフルを発砲した。銃弾が乗用車のフロントウィンドウに複数の蜘蛛の巣に似た銃痕を生み、西野は反射的にしゃがんで身を隠した。仲間が発砲を開始すると、他の7人も乗用車に向けて銃撃を加えた。

 “上手く行かないな!”大多和が急いで煙の向こう側にいるテロリストに向けて短機関銃の引き金を絞った。桑野も彼に倣って発砲する。8人のテロリストは予期せぬ攻撃に怯み、注意を西野から大多和たちへ移した。

 乗用車への銃撃が止むと西野は急いで運転席のドアを開けようとしたが、ドアはロックされていた。仕方なく彼は銃床で窓を叩き割り、錠を解除してドアを開けると鍵の有無を確認した。幸運なことに車の鍵は差し込まれた状態で、捜査官はすぐにエンジンをかけて車に乗り込んだ。

 エンジン音に驚いたテロリストたちは車に銃口を向けた。だが、大多和と桑野の銃撃が激しかったため、すぐに銃を元の方向へ戻した。

 西野はギアをリバースに入れてアクセルを踏み込み、車がエンジンを唸らせて勢い良く後退を始めた。この動きは大多和たちに向けて発砲していたテロリストの注意を引き、複数の銃弾を受けて車のフロントライトが砕けた。捜査官は急いでハンドルを切って方向転換し、ギアをドライブに変えると再びアクセルを踏み込んだ。

 土煙を巻き上げながら、猛スピードで校庭を走り去る乗用車を視界の隅で確認した大多和は、小さな喜びと大きな悲しみの両方を感じていた。








 廃校舎との距離が開き、銃声が小さくなると、西野は上着のポケットから携帯電話を出そうとした。しかし、彼の電話は守谷に拘束された際に奪われていた。黒田と連絡を取って小野田の身柄を押さえたい西野は、できるだけ早く黒田に三須と守谷の計画について報告したかった。

 「クソッ!」ネズミ取りの捜査官は、公衆電話を探すしかないと思って悪態ついた。

 その時、シフトレバーの付近で明かりが生まれた。視線を移動させると、テロリストの一人が置き忘れたスマートフォンの画面が煌々と光っていた。西野はそれを手に取ると、急いで黒田のオフィスに電話をかけた。

 数回呼び出し音が鳴った後に黒田の声が聞こえてきた。「黒田です。」

 「すぐに小野田を拘束してくれ!」名乗ることなく、西野が送話口に向かって叫んだ。

 黒田は混乱したが、声の主が西野だということは分かった。「西野か?今、何所にいる?」

 「大多和たちに救出されて、国道5号線を走ってる。それより、小野田を―」

 「私も小野田と小木を追っている。」西野を遮ってネズミ取りの支局長が言った。「お前も…お前も内通者なのか?」

 黒田がまだ自分を疑っていることに、ネズミ取りの捜査官は衝撃を受けた。しかし、今はそのことについて話す時ではない。

 「俺は内通者じゃない。全ては三須―いや、小野田の罠だ。アイツは俺と議員の命を狙っている。」

 「何故?」

 「2年前の潜入捜査だ。俺は小野田と守谷と言う男が所属していたグループに潜入し、奴らのテロ攻撃を阻止した。死んだと思っていたが、名前と顔を変えて復讐の機会を窺っていたようだ。」

 西野の説明はにわかに信じがたいものであったが、黒田は敢えて口を挟まなかった。ゆえに捜査官は先を続けた。

 「小野田は議員を殺す気だ。議員の居場所が分かれば、小野田を止めることができる。」

 「なら、すぐにSPに連絡し、SATを出動させる。」黒田が上着のポケットから携帯電話を取り出した。

 「それじゃ間に合わない!俺が向かう。議員は何所にいる?」

 捜査官の問いに黒田は答えるべきか悩んだ。“西野が内通者ではないと確定した訳じゃない…しかし…”

 「議員は札幌空港に向かっている。」悩んだ挙句に支局長は議員の行き先を教えた。

 すると、支局へ向かっていた西野は急いでUターンした。








 フラッシュバンで麻痺していた感覚が戻り、さらにスモークグレードの煙が廊下から消えると、守谷たちは中島と荒井のいる教室に向かって歩き出した。慎重に銃を構えながら歩を進めるテロリストたちが教室のドア横に辿り着くと、外で立ち上る黄色い煙を目にした。煙の出現から少し遅れて彼らは銃声を聞いた。

 “敵の増援か?”素早く窓横にあった柱の陰まで移動して、守谷が外の様子を窺った。スモークグレードが生んだ煙でほとんど何も見えず、彼は乗用車で三須を追った西野の姿を見ることもなかった。

 「中田と3人は俺について来い!」額に切り傷を持つ男が叫び、命令を受けた4人が守谷の後を追って1階へ走った。

 残されたテロリスト12人の内、6人がゆっくりと敵が隠れている教室の中に入った。彼らが銃弾で滅茶苦茶に破壊された教室内で見たのは、暖房機の付近で倒れる二人の男だった。一人がもう一人の上に覆い被さるように倒れている。ガラス片や木片、埃で満たされた床には二人の物と思われる血が流れていた。

 “死んでいたか…”

 教室内にいたテロリストたちがそう思っていた時、荒井は薄目を開けて突撃銃を持つ6人の男を見た。男たちは銃口を床に向けていたが、もし荒井が少しでも動けば、素早くアサルトライフルを構えて撃ってくる可能性があった。ゆえに彼は死んだフリをすることにした。

 「荒井、早く降りて来いッ!!」右耳に差し込んでいた通信機から外で待機している沢木の大声が聞こえてきた。予期せぬ声に荒井は驚いて体をビクンと反応させてしまった。

 教室を後にしようとしていたテロリストの一人が、ピクリとも動かない中島の下で倒れているSAT隊員の動きを見た。

 「おいッ!」荒井の動きを目撃したテロリストが仲間を呼んだ。「コイツ、まだ―」

 金属片が床に落ちて甲高い音が室内に響いた。音を耳にしたテロリストたちが素早く振り返って音源を探す。そして、彼らは足元に転がって来る小さな黒い物体を見つけた。テロリストの一人が突如現れたフラッシュバンを蹴り飛ばそうとした時、眩い閃光と爆音が室内を満たした。

 死を覚悟していた荒井は目を閉じていたので視覚を奪われることはなかったが、爆音のせいで聴覚が麻痺した。6人のテロリストは両目を閉じて呻き声や怒鳴り声を上げ、教室の外で待機していた残りの6人が様子を見にやって来た。

 気が付くと荒井が背中に感じていた重さが消え、突然体を持ち上げられた。呻き声を上げながら、中島は若いSAT隊員に左肩を貸して血で赤く染まった右手でロープを掴んだ。右腕を少し上げるだけでも激痛が走ったが、彼は荒井と共に逃げるために歯を食いしばって痛みに耐えた。片脚を撃たれた荒井と一緒に行動するのは楽ではなく、二人の動きは遅くて窓枠を乗り越えるのに酷く手を焼いた。

 窓枠を上がるのに苦戦する二人を目撃した6人のテロリストは、フラッシュバンで二つの感覚を失って混乱に陥っている仲間を横目に突撃銃を構えて狙いを定めた。すると、教室前方ドアから進入した三人の一人が仰向けに倒れた。
 
 男の顔には大きな銃痕があり、そこから血が流れ出ている。銃弾は顔よりも後頭部に大きなダメージを残し、男が倒れると同時に大量の血が床に広がった。他の5人は中島と荒井から死亡した仲間へ視線を向けた。続いて死んだ男の隣にいた男が同じように倒れた。今回は首に銃弾を受けていた。間を置かずに三人目、四人目が頭を撃ち抜かれた。

 一方、中島は左腕だけで荒井を持ち上げて窓枠を乗り越えた。荒井が先にロープを握り、被弾していない右脚でバランスを取って降下を始めた。素早く中島も荒井の後に続いたが、彼の場合は右腕を撃たれていたので、両脚を器用に使って降りるしかなかった。それでも二人はテロリストの射角から外れ、距離も少しずつ離した。

 テロリストの中に混乱が生まれた。仲間の死に気を取られている間に、追い込んでいたはずのSAT隊員二人が窓から姿を消した。そして、追跡しようにも窓の外に広がる森林から飛んでくる銃弾が彼らの動きを止めた。姿の見えない狙撃手の狙いは鋭く、ほぼ急所に銃弾を撃ち込んできた。12人いたテロリストは4人にまで減らされた。

 「良い感じじゃない?」単眼鏡越しにテロリストの動きを見ていた藤木が言った。

 「それじゃ、そろそろ議員の所へ行きませんか?」10倍のスコープを通して敵の姿を探す小川が口を開いた。

 「そうだね…」

 小柄の女性捜査官がスコープから顔を離し、狙いを安定させるために寄り掛かっていた木から身を引いて立ち上がった。

 「そのライフル…G-28だっけ?」藤木が小川の持つセミオートマチックの狙撃銃を指差す。「それの使用報告書を書いて欲しい。本部が気に入れば、採用になるかもしれないし…」

 「はーい。」面倒くさそうに小川が言った。








 自分は普通の人よりも優れている。小木はそう思っていた。そして、彼を正当に評価しない世の中に失望していた。

 警察から引き抜かれた小木は他の捜査官よりも積極的に行動し、23件のテロ計画を阻止してきた。刑事時代の知識と経験を活かして多くの情報提供者を獲得し、彼らから様々な情報を入手して小木は組織に貢献してきた。事実、北海道支局が有する情報提供者の12%は小木の管理下にある。それでも彼に対する黒田の評価は低かった。

 職場に対する鬱憤が募る中、テロリストの追跡中に小木は被弾して入院した。大多和の処置が素早く、そして、的確であったために命に別状はなかったが、この事件で小木のネズミ取りに対する忠誠心に亀裂が走った。

 事件発生前から容疑者の武器携帯が確認されていたのにも関わらず、黒田は拳銃携帯を頑なに拒否し、穏便に拘束するように捜査官たちに求めた。その結果、テロリストと交戦して小木は腹部を被弾した。入院しても黒田が見舞いに来ることはなかった。他の職員も彼の様子を確かめようとしなかった。しかし、例外が一人だけいた。

 小木が退屈そうにベッドに寝転がってテレビを見ていると、果物の手土産を持った小野田良平が病室にやってきた。

 「元気ですか?」小野田が人懐っこい笑顔を浮かべた。

 予期せぬ来客であったが、小木は嬉しかった。両親や友人の多くが他県に住んでいるため、話す相手は看護師または医師だけあり、個室のベッドに寝ていることが多かったので他の患者との交流は皆無だった。小野田とはあまり話した事がなかったが、腹部に銃傷を持つ捜査官は気にせず職場のことを日が暮れるまで尋ねた。

 小野田の偽名を使う三須は何度もお土産を持って小木を訪れ、互いに職場の愚痴を言い合った。この時、小木は小野田も自分と同じように、職場に不信感を持っていることを知って嬉しかった。二人は2週間と言う短い間で友情を深めた。三須は小木と彼の情報提供者を利用するつもりであったが、小木の方は完全に三須を友人の1人だと信じていた。

 「一緒に今の組織を変えよう…」退院の1週間前に三須は計画を打ち明けた。詳細については伏せたが、彼は小木にテロ攻撃の計画とそれが対テロ機関の体質を変える唯一の方法であることを説いた。

 ネズミ取りへの忠誠心を捨てていた小木は、三須の計画に賛同して協力することを誓った。その一環として、自分の情報提供者を利用して武田衛の行動をネズミ取りに流した。全ては三須が手配したテロリストの動きを秘匿するための行動であり、黒田が指揮する対テロ機関は疑いを持つことなく武田衛に全労力を注いだ。武田を餌にする案は守谷のものであった。武田であれば、上手くネズミ取りの注意を引くことができると彼は確信していたのだ。しかし、かつての仲間であった武田との直接的なやり取りは求めなかった。全ては秘匿性を保つためだった。

 「どうやら、議員は家族と別行動を取り始めたようだ…」助手席でノートパソコンを操作する三須が言った。

 「狙いは議員のままなのか?それとも両方か?」小木が横目で助手席に座る男を見た。

 「まずは議員だ。それから家族にしよう。」

 「道はこれで合ってるのか?」

 「大丈夫だ。あと10分も走っていれば、議員の車列が見えるさ…」








 地に足が着いた瞬間、中島の体に走っていた緊張が解けた。彼は左手で右腰のホルスターに収められていたUSP拳銃を抜き、荒井の横に並んだ。彼よりも先に降下していた荒井は壁に寄り掛かって周囲の安全確認を行っていた。

 「どうやら、先に行っちゃったみたいですね…」視線を鋭く周囲に配りながら荒井が言った。

 「別の方向から銃声が聞こえるから、そっちの応援に行ったんじゃない?」中島は一度片膝をつき、拳銃を左膝裏に挟めると弾倉を抜いて残弾を確認した。薬室の銃弾も合わせて、残り5発。残弾少ない弾倉を元に戻して予備弾倉のホルスターを確認したが、そこは空であった。

 「応援に行きましょう。」荒井が片手をついて壁から離れた。

 「止血を先にしよう。このままじゃ、死んじゃうよ。」降下の際に利用したロープの一部を中島が小さいナイフで切断した。

 荒井の怪我を考慮した中島は5メートルほど離れた林ではなく、危険を承知でもう一度廃校舎の中に戻った。苦戦しながらも二人は近くにあった窓から建物に進入し、埃とゴミで一杯になっている部屋に入った。ドアは閉まっており、またテロリストが出したと思われるゴミの山があったため、身を隠すにはちょうどいい場所であった。

 傷の様子を確認した二人は、切り取ったロープを使って出血部位の少し上をきつく縛った。これで出血の勢いを防いだが、できるだけ早く適切な処置を施す必要があった。

 「ところで、荒井さんの残弾は?」中島が思い出したように尋ねた。

 「薬室合わせて7発です。予備はもう無いです。中島さんは?」

 「あと5発だよ。」そう言うと、東京から来たSAT隊員は拳銃から弾倉を抜き、薬室の銃弾も取り出してそれを弾倉に入れると荒井に渡した。「何の足しにもならないと思うけど、持っててよ。」

 「でも…」

 「んじゃ、オイラはそろそろ行くよ。」中島が立ち上がった。しかし、窓の外を走る複数の影を見て、彼はすぐ姿勢を低くした。

 「俺も行きます!」5発の銃弾が込められた弾倉を、防弾ベストのポケットに入れて荒井が言った。「応援が来るまで戦います。」若いSAT隊員は被弾した左脚を庇いながら立ち上がった。

 「弾も少ないし、その怪我じゃ邪魔になるかもしれないよ。」

 「仲間は見捨てることはできません!」

 中島は困った顔をして考えた。荒井は変わらず真剣な眼差しを東京から来たSAT隊員に向けている。

 「弾の数には気を付けてよ。」中島が荒井に肩を貸した。

 「ありがとうございます!」

 二人は外にいるテロリストを警戒して、敢えて廊下に出ることを選んだ。また、これは正面玄関にいるであろう敵を撹乱するための行動でもあった。中島がドアノブを回し、静かに扉を内側に引いて廊下の様子を窺う。暗い通路に人影はない。ドアを開けて東京から来たSAT隊員は、壁に寄り掛かっていた荒井に肩を貸してと共に廊下に出た。そして、二人は固まった。

 守谷と中田は2メートル先に現れた二人のSAT隊員を見て虚を突かれた。この二人は職員専用口から逃げようと急いでいた。

 素早く荒井が銃を二人のテロリストに向け、中島が部屋へ戻ろうと動く。それを見ても、中田は躊躇せずに突進してきた。猛スピードで接近してくる大男を見て中島は、荒井を室内へ戻そうと左手で突き飛ばし、中田と向き合った。

 一方の荒井はバランスを取ってドア枠にしがみつき、すぐに体勢を立ち直して廊下にいるテロリストへ視線を戻す。その時、ちょうど中田が彼の目の前を通り過ぎ、中島に強烈なタックルを浴びせようとしていた。ゆえに荒井はもう一人のテロリストの姿を探した。彼が守谷を見つけた時、テロリストの拳銃が自分の方へ向けられていた。荒井はすぐに壁から離れ、守谷に向けて発砲した。

 タックルを受ける直前に中島は右斜め前に移動し、左肘を中田の顔面に向けて放った。しかし、大男は見た目から想像できない速さで攻撃を回避して、左へ体を回転させて右フックをSAT隊員の横腹に叩き込んだ。すかさずテロリストは立ち上がりながら、右アッパーを中島の顎に向けて繰り出す。東京からSAT隊員は上体を後ろへ下げて攻撃を避けると同時に、左蹴りを中田の股間に入れた。股間への攻撃に中田は悶絶し、彼の勢いが弱まった。好機を逃すまいと、中島は左拳を水平に振って大男の顎横に叩き込み、その勢いを利用してテロリストの右肩を掴んで引き寄せると、左膝で中田の腹部を蹴り上げた。

 一方的に攻撃される中田は苛立ち、SAT隊員が左肘打ちを放とうとするなり、中島の防弾ベストを掴んで左へ放り投げた。

 至近距離であるにも関わらず、荒井は守谷を仕留めることができなかった。左脚の怪我が集中力を削ぎ、焦りが狙いを不安定にさせていた。残弾が2となった時、守谷の銃に異変が起こった。空薬莢が排出口に挟まり、動作不良を起こした。額に切り傷を持つ男は故障した拳銃を荒井に投げつけ、SAT隊員が体勢を立て直す前に距離を縮めて荒井の拳銃を掴んだ。

 若いSAT隊員は守谷を突き飛ばそうとしたが、片脚だけでは上手く力を入れることができず、顔面に守谷の掌底を受けると同時に拳銃を奪われた。この時、荒井はバランスを崩して尻餅をついた。素早く顔を上げると、目の前に銃口があった。

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